旅行キャンセルで全額返金わずか17% しかも数カ月待ち 豪州

豪州の消費者団体CHOICEが今年3月に実施した「新型コロナによる旅行キャンセル調査」によると、現金で全額払い戻しを受けた人はわずか17%で、多くの場合数カ月を要していたことがわかった。

バウチャー(クーポン券)での払い戻しを受けた人もいたが、利用できる期限が短いなどの理由で多くの人が「使うことはないと思う」と回答。予約サイトと航空会社とが責任を押し付けあうケースもあり、「誰が責任を負うのかが明確ではなくイライラする」との回答も相次いだ。CHOICEは「コロナによる旅行キャンセルは消費者に大きな自己負担と忍耐力を強いており、旅行業界は信頼を失っている」と指摘。簡単な手続きで返金が受けられるよう法改正が必要だと訴えた。

4000人以上を対象とした調査では、旅行がキャンセルとなった後、全額返金された人は17%で5人に1人にも満たなかった。以下、一部返金とバウチャーで受け取った人が12%、一部のみ返金された人が8%、返金されたがキャンセル料を取られた人が7%、予約を取り消され代金も失った人が5%などとなった。

全体の86%は航空チケット、65%は宿泊施設に関するもので、何らかの救済措置を受けた人の半数以上(53%)が3カ月以上待たされていた。

ある消費者は航空チケット代として2400豪ドル(約19万8千円)の返金を申し出たが、旅行予約サイトExpediaからは航空会社Virginの問題だと言われ、VirginからはExpediaの問題だと言われたという。別の消費者は「事業者同士で責任を押し付けあい、ほぼ1年間、その繰り返しだ」と回答していた。こうしたトラブルはWebjet、APT、FlightCenterといった予約サイトでも発生しているという。

CHOICEは、政府に対し、簡単な手続きで払い戻しが受けられるルール作りやバウチャーに関する最低限の権利(利用期間の延長など)、航空会社や旅行代理店の統一ルールなどを要求。記事の最後に、トラブルに遭ったすべての人の声を代弁しているとして、ある消費者の意見を紹介した。

業界は善意が欠如している――。「サービスが提供されないのに返金されない場合があることを私は理解できない。なぜこうした行為が法の下で許されているだろうか。返金は当然のこととして、遅延した場合は利子をつけて返すのが筋だと思う」

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