米CDC、血中鉛濃度参照値引下げ 1~5歳の2.5%が超過

米疾病対策センター(CDC)は10月29日、血中鉛濃度参照値(BLRV)を5μg/dLから3.5μg/dLに引き下げたと発表した。1~5歳の約2.5%が新しい参照値を上回っているとみられ、州や保護者に対策を呼びかけた。米国における子どもの血中鉛濃度は長期的にみると大幅に低下しているが、CDCは「子どもにとって安全な血中鉛レベルはなく、微量でも子どもの脳の発達に有害性を示す可能性がある」と指摘している。

血中鉛濃度参照値は、通常よりも高い濃度の鉛にさらされている子どもを特定するため、2012年に導入された指標。参照値を上回る子どもについて、CDCは州や市に医療的・環境的な支援を行うよう求めている。汚染リスクの高い地域やコミュニティの把握にも役立てられおり、CDCは「黒人の子ども、低所得世帯に住む子ども、移民・難民の子どもは鉛に汚染されたコミュニティに住む可能性が高い」と指摘する。参照値の引き下げは導入以来、今回が初めて。

鉛の主要な曝露源は塗料、ほこり、鉛で汚染された土壌、鉛製水道管からの水道水。そのほか、おもちゃ、宝飾品、輸入食品、伝承薬などからの曝露がある。鉛塗料が禁止された1978年以前に建てられた家屋、空港周辺地域、鉛製水道管は要注意だという。

CDCの発表を受け、米消費者団体コンシューマー・リポートは保護者がすぐに実行できる対策を紹介。▽定期的にウェットモップと掃除機でほこりを取り除く▽料理・飲用の際、水道水を45秒間流してから使う▽心配ならNSF/ANSI 53認定の浄水器を使う▽一部の水道事業者が実施する鉛検査を受ける▽ビタミンC、カルシウム、鉄を正しく取れているかを確認し、健康的な食事を心がける(鉄不足の子どもは鉛を吸収する可能性が高くなる)――などを呼びかけた。様々な支援プログラムを用意している州もあり、地域の保健機関に問い合わせてみるとよいとしている。

同団体によると、米国では通常、生後1年間は小児科医によって血中鉛濃度の定期チェックが行われ、特に汚染地域や古い家屋に住んでいる子ども、鉛濃度の高い兄弟がいる子どもは重点的に検査されるという。

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