【米国】マルチビタミン「健康なら効果なし」 必要性を検証

手軽に多種類のビタミン・ミネラルが摂取できる「マルチビタミン剤」について、米国の消費者団体コンシューマー・リポートが最新研究をもとに健康維持に役立つかを検証した。ハーバード・メディカルスクール准教授のピーター・コーエン医学博士によると、「健康的な食事をして体が健康であれば、マルチビタミン剤を摂取しても、何の効果も得られないことが多くの研究で示されている」というのが結論。適切に摂取する限りにおいては安全性に問題はないが、個別のビタミン剤を追加して摂取すると1日の推奨量を超えてしまい、過剰摂取のリスクも生じる。コーエン博士は「利用を検討している人は、医薬品の場合と同じように、まず医師に相談してほしい」と呼びかけている。

研究によると、ビタミン欠乏症と診断されない限り、一般的にビタミン剤を摂取する利点はほとんどないことが長い間示され続けたという。ただし、減量手術を受けた人やビタミンDが不足している高齢者など特定の状況にある人に対しては、医師が個別のサプリメントを勧める場合がある。

サプリメントによる過剰摂取には注意を要し、例えば特定の形態のカルシウムを過剰に摂ると腎臓結石を引き起こす可能性がある。また、マグネシウムの摂り過ぎは下痢を、鉄分の摂り過ぎは便秘を引き起こす恐れがある。さらにマルチビタミン剤は他のサプリメントと比べて粒が大きい場合があり、一部の高齢者にとっては飲み込むのが困難になる。コーエン博士は「サプリメントは錠剤の大きさに制限がないため、窒息の危険性がある」と指摘する。

老年病を専門とするケネス・コンシルジャ医師は様々な果物や野菜を優先して摂取することを推奨。「総合的に言えば、食事から摂取する方がいつの場合でも良い。サプリメントに伴う余分なリスクが生じないからだ」と指摘する。医師に相談する場合、服用している医薬品やサプリメントをリスト化しておけば、何が必要で何が必要でないか話し合いがスムーズに進むとアドバイスしている。

専門家からの意見を踏まえ、コンシューマー・リポートは「食事と比べるとマルチビタミン剤でビタミンを摂る方が簡単に思えるが、現実はもう少し複雑のようだ。健康的な食事は多くの利点があり、消費者はマルチビタミン剤が本当に必要なのか検討することが重要だ」と呼びかけている。

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