【英国】銀行に詐欺被害者への返金義務化 導入後に被害が減少
- 2026/7/6
- 海外
英国決済システム規制当局(PSR)が委託した調査で、詐欺被害者への返金を銀行に義務付ける制度が導入されて以降、詐欺による被害額が1年間で約7300万ポンド(日本円で約140億円)も減ったことがわかった。詐欺件数自体も、1年間で約3万5000件減った。英国の消費者団体「Which?」が伝えた。
この制度は2024年10月から始まったもので、「返金義務化スキーム」と呼ばれている。救済対象となるのは、有名企業になりすました電話やメール、SMSなどに騙されて、被害者自らお金を振り込んでしまうタイプの詐欺(いわゆるAPP詐欺)。こうした被害に遭った場合、銀行は基本的に5営業日以内に返金しなければならない。返金額の上限は8万5000ポンド(約1650万円)で、送金側と受取側、両方の銀行が費用を分け合う仕組みになっている。なお、デビットカードやクレジットカードでの支払い、海外への送金、暗号資産(仮想通貨)は、この制度の対象外だ。また、上限額は当初41万5000ポンドとされる予定だったが、銀行業界からの懸念を受けてPSRが引き下げた。
調査を行ったフロンティア・エコノミクス社によると、詐欺被害者への補償率はルール導入前の54%から65%へと上昇。この制度の対象になる詐欺だけで見ると、97%もの人が返金を受けられているという。詐欺の支払い手段に悪用される割合が高かった銀行ほど、被害の減り方が大きい傾向が見られ、これは銀行側が詐欺を防ぐための対策を強めた結果と分析されている。
ルール導入前は、一部の銀行から「返金してもらえるとわかると、消費者は送金に注意を払わなくなる」「銀行がこの業務から撤退するケースが増える」といった懸念の声もあった。しかし、今回の調査では、こうした事態が実際には起きていないことが確認された。一方で、銀行によって被害者への対応に差があり、同じような被害を受けても、利用している銀行によって結果が違うという問題も見つかった。PSRは、この差をなくすための対策について、今年後半に意見を募る予定だとしている。
Which?の政策担当、ロシオ・コンチャさんは、「今回の結果は、私たちが長く求めてきたことが正しかったと証明してくれた」とコメント。銀行にきちんとした動機を与えることで、消費者を守りながら詐欺そのものを減らせることがわかったと評価している。ただ、銀行によって対応がバラバラだという新たな問題も見えてきたため、対応が不十分な銀行や決済会社にはPSRが断固たる措置をするべきだと訴えている。
























