暖房器具の着火事故、洗濯物最多 今冬は消毒アルコールも注意

本格的な冬の到来を前に、NITE(製品評価技術基盤機構)は11月26日、暖房器具の火災事故に注意を呼びかけた。可燃物の接触による事故が最も多く起きており、乾かしていた洗濯物に着火するケースが目立った。また、コロナ感染予防で使用機会が増える消毒用アルコールについても注意喚起を実施。「アルコールは揮発性が高く、量や距離によっては引火するおそれがある。手指の消毒直後に石油ストーブなどに近づかないようにしてほしい」と事故の未然防止を呼びかけた。

電気ストーブの洗濯物着火事故

火を熱源としない電気ストーブでも接触すると洗濯物が燃え上がる。可燃物を近くに置かないことが重要だ(NITE再現実験映像より)

NITEによると、暖房器具の火災事故は2019年度までの10年間に1361件発生しており、191人が死亡、59人が重傷を負った。そのうち可燃物が接触して火災になった事故が187件と最も多く、以下、「給油口から灯油がこぼれて引火」(139件)、「部品の接触不良で異常発熱」(71件)、「ガソリンを誤給油し出火」(67件)などが続いた。

可燃物の接触による事故は電気ストーブ(97件)で多発していて、石油ストーブ(42件)の2倍以上。「火を熱源としない電気ストーブでも、可燃物が接触すると過熱され火災に至る」と警告した。また、着火した可燃物の4割が衣類で、洗濯物などを乾す際に着火する事例が多発。発生時刻は朝方の5時~8時台が最も多く、NITEは「朝起きてすぐに暖房器具のスイッチを入れ、衣類を乾かそうとして着火する事故が想定される」と説明した。そのほか、ペットが可燃物を接触させたり、ロボット掃除機が電気ストーブを移動させたりして火災になった事例もあった。

暖房器具の取扱説明書には可燃物との距離についての記載があり、距離を確認して正しく設置することが重要。可燃物を近くに置かず、その場を離れる時や外出時、就寝時には必ず消すよう呼びかけた。

また、今冬は消毒用アルコールの引火事故にも注意が必要。NITEは「石油ストーブなどの火気を伴う暖房器具の近くで使用しないこと。アルコールは揮発性が高く、量と距離により引火するおそれがあり、手指に使った場合でもしっかりと乾かすまで火のそばに近寄らないでほしい」と呼びかけた。国内での報告例はないものの海外では引火事故が起きているという。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. PFASワーキンググループ
    食品安全委員会のPFASワーキンググループは4月26日、第8回会合を開き、「PFAS(有機フッ素化合c
  2. 米国の保険関連非営利組織「国家保険犯罪局」(NICB)は5月9日、盗難車に関する2023年報告書をまc
  3. 伝統的易学業界
    国民生活センターも参加、トラブル事例を解説 伝統的な易学の研究・普及に取り組んでいる占い関連団体がc
  4. 消費者庁デジタル班
    詐欺的定期商法など排除へ 事業者への注意喚起通知1600件 インターネット通信販売に関するトラブルc
  5. U.S. PIRG
    プラスチック製品に欠かせない原材料「プラスチックペレット」の環境への放出を禁止する法案が米下院で支持c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る