デジタル時代の食育、共感・共食がキーワード 農水省フォーラム

◎新たな取り組みに挑むキーパーソンが事例報告

食を巡る環境が大きく変化する中、これからの食育のあり方を考えるフォーラムが2月20日、東京都内で開かれた。企業、料理研究家、生産者がデジタルツールを活用した新たな事例を報告したほか、エシカル消費や若者への啓発方法などの課題を議論した。パネルディスカッションでは「共感」「共食」が重要なキーワードとして示された。

農林水産省主催の「食育推進フォーラム2023」は今年で3回目。「これからの食育とその実践」をテーマに会場とオンラインで開かれた。挨拶した勝俣孝明副大臣は「変化の時代だからこそ国民一人一人が食について改めて意識を高め、健全な食生活を実践できるよう、関係者が連携して食育の推進に取り組んでいくことが重要だ」と語った。

農水省食育推進フォーラム

デジタルでの食育活動に取り組むキーパーソンが事例報告。経験に基づく様々なヒントが示された(2月20日)

2時間にわたるプログラムでは、食育基本法の制定に携わった服部幸慶さん(服部学園理事長)がビデオ出演で講演。次いで、料理家の和田明日香さんが自身の事例を報告し、「一緒に美味しく食べること」の重要性を呼びかけた。

パネルディスカッションでは、コロナ禍に新たな取り組みに挑戦してきたキーパーソンが登場。昨年、食育活動表彰で農林水産大臣賞を受賞したキユーピーの上田史恵さん(広報・グループコミュニケーション室)は工場見学が中心だった食育活動をオンラインで展開する際の工夫について報告した。上田さんは「五感に訴えるプログラムが難しいため、双方向のコミュニケーションを重視し、クイズ形式にするなどの工夫をした。子どもが画面を見続けるには限度があるため30分から45分にまとめてポイントを詰め込むなどした」と語った。

オンライン料理教室を数多く展開してきた滝村雅晴さん(料理研究家)は「コロナ禍で家庭でも二極化が進み、料理や家事を分担し、なんとか楽しんで生活していこうという家族と、誰かに余計な負担がのしかかるという家族がある」と分析し、みんなが家事や料理を分担できることが重要だと強調した。

学校給食の食材を納品する近藤ファーム代表の近藤剛さんは物価高に対する消費者意識の変化を報告。「これまでは安いものを探して購入していたが、今は買わないという選択肢が出てきた」とし、「食育と同時にお金の教育を進めることで、地産地消やフードマイレージへの理解が進むのではないか」と提案した。

これからの食育のキーワードは「共感」「共食」。和田さんは「SNSで映(ば)えることは重要ではなくなっていて、若者は(投稿が)リアルかどうかをシビアにみている。私自身、子育てでぐったりする様子を発信することもあるが、それが共感につながることも多い」と指摘。滝村さんは「手料理であっても外食であっても一緒に食べることが大事。LINEで田舎のおじいちゃん、おばあちゃんとしゃべりながらご飯が食べられる時代になっており、そんな事例がもっと広がってほしい」と語った。

(本紙「ニッポン消費者新聞」3月1日号より転載)

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