<米国>トランプ関税で値上げの嵐か 高額品は年内に購入を

トランプ米大統領による鉄鋼・アルミニウムの輸入品への追加関税発言をめぐり、米消費者情報誌コンシューマーリポートが消費者への影響を考察している。専門家らは「原材料費の高騰による影響が来年になって現れ、高額消費財である自動車や電化製品が最大10%上昇する可能性がある」と指摘。値上げが旅行・食品・外食にまで波及し、さらには雇用の悪化を引き起こすと警告した。「年内に高額品を購入するのは理にかなった消費行動だ」としている。

トランプ大統領が表明した方針は鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を新たに課すというもの。その影響について現在、政治・経済的な側面から様々な論考が行われているが、同誌は消費者への影響について専門家の意見を紹介した。

ニュー・インベストメント・リサーチのアナリスト、ビル・セレスキー氏は「原材料の高コスト化が商品の値上げにつながるには時間がかかる。今年はその影響を感じないかも知れないが、来年、再来年にかけて痛感することになる。値上げ幅は5~10%になり、高額な自動車や電化製品を買うならば年内に購入することを勧める」と説明。大幅な価格上昇が消費に看過できない影響を与えると分析した。

ケイトー研究所のダン・イケンソン氏は「鉄鋼とアルミは車、家電、航空機、配管、建築材、食品・飲料容器など広く使われている。波及効果は想像以上に大きく、旅行、食品、外食を含め経済全体で価格上昇が起きる可能性がある」と指摘した。

産業界からは懸念の声が出ていて、フォード・モーターズは「国内の商品価格の上昇を招き、米企業の競争力を損なう」と非難。ビール大手のミラー・クアーズは「アルミを国内だけで満たすには供給不足で、輸入せざるを得ない。誤った関税案がコスト増につながり、消費者を苦しめるだけでなく、ビール業界の労働者の職を奪うことになるだろう」と訴えた。

ただし、トランプ大統領の案が実現するかどうかは未知数。国内経済への影響が見通せない中、政策立案スタッフの準備不足や他国による報復措置を指摘する専門家は多く、修正を余儀なくされるとの見通し。追加関税は鉄鋼メーカーを守るためのものだが、前出のビル・セレスキー氏は「1つの問題を解決するための措置がより多くの問題を招く結果になるだろう」と警告した。

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