教材費53万円の家庭教師で解約トラブル 都知事が救済委に付託

東京都の小池百合子都知事は7月18日、消費者と事業者との間で発生した家庭教師および教材の契約トラブルについて、都消費者被害救済委員会に紛争の解決を付託した。救済委は両者から話を聴き、あっせん案を提示して解決を図る。

都によると、申立を行ったのは、中学1年生(契約当時)の子どもを持つ40歳代の保護者。

インターネットでオンライン家庭教師を探していたところ、「1コマ約3000円」の広告を見つけ、体験授業を申し込んだ。体験授業後、契約の話になり、その時初めて月々の授業料に加えて2教科の教材費約53万円が必要になるとの説明を受けた。高額だと伝えたところ、事業者から「2教科分の教材費で4教科教えてあげる」「家庭教師による授業のほかにメッセージアプリによる添削指導もする」「中学3年間の料金だ」などの説明を受け、そのまま契約書面に電子書面した。その際、クーリング・オフや中途解約に関する説明はなかったという。

10カ月ほど授業を受けたが、満足できず、電話で解約を申し出たところ、教材費は返金しないなどと言われ、紛争に発展した。

この事案の問題点として、▽特定商取引法が規定する記載事項に不備があり、クーリング・オフが可能ではないか▽勧誘中の中途解約に関する説明が不十分であり、契約前に丁寧に説明すべきではないか▽体験授業後に高額な教材費の話をしており、不意打ち性が高く、勧誘方法や広告表示に問題があるのではないか――などがあげられている。

都内の消費生活センターには家庭教師に関する相談が2023年度62件、24年度76件寄せられており、増加傾向にある。救済委は解決を図るとともに、あっせん案の考え方なども広く示して類似トラブルの解決にも役立てる方針だ。

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