ネット通販の定期購入契約 埼玉弁護士会が規制強化を要望

増加の一途をたどる定期購入契約のトラブルや被害を防ぐため、埼玉弁護士会(野崎正会長)は6月11日、特定商取引法など関係規則を改正してインターネット通信販売の規制をさらに強化するよう求める意見書を公表した。定期購入を巡っては2014年ごろから「1回だけのお試しのつもりで注文したら実際は定期購入契約だった」などのトラブルが多発。2017年12月施行の改正特商法などで表示に関する規制が導入されたものの、その後も相談が急増する事態となっていた。

意見書では、規制の導入を逆手に取った手口の存在を指摘。「お試し価格」「初回無料」などの文言を大きく表示する一方で、表示が義務付けられた2回目以降の単価や回数、総額などの購入条件を注意書き形式で小さな活字で記載する手法が広がっていた。同会は「消費者に定期購入契約であることを気付かせずに申込みをさせる手口」だと指摘している。改正特商法などによる規制では「定期購入契約である旨、金額、契約期間などの販売条件」などの表示を義務付けたが、これ以上のことが規定されていなかった。

また、トラブルとなった場合でも、事業者は規定を順守していると主張。消費者の見落としが原因との理由で解約の申し出を拒否したり、消費生活センターのあっ旋に応じなかったりする状態が続いていることを問題点にあげた。

埼玉弁護士会は▽広告画面と申込確認画面に商品の総数量や代金総額などを明確に表示するよう義務付ける▽アフィリエイト広告の誇大表示について広告主も責任を負うことを法令に明記する▽解約の申し出に迅速対応する体制整備を事業者に義務付ける▽適格消費者団体の差し止め請求の対象に広告表示義務違反行為と指示対象行為を含める――などの規制強化を要求。

また、ターゲティング広告やSNSによる広告は不意打ち性や攻撃性が高く、不本意に契約させられることが多いとして、こうした広告を経た契約についてはクーリングオフ制度を導入するべきだと訴えた。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. PFASワーキンググループ
    食品安全委員会のPFASワーキンググループは4月26日、第8回会合を開き、「PFAS(有機フッ素化合c
  2. 米国の保険関連非営利組織「国家保険犯罪局」(NICB)は5月9日、盗難車に関する2023年報告書をまc
  3. 伝統的易学業界
    国民生活センターも参加、トラブル事例を解説 伝統的な易学の研究・普及に取り組んでいる占い関連団体がc
  4. 消費者庁デジタル班
    詐欺的定期商法など排除へ 事業者への注意喚起通知1600件 インターネット通信販売に関するトラブルc
  5. U.S. PIRG
    プラスチック製品に欠かせない原材料「プラスチックペレット」の環境への放出を禁止する法案が米下院で支持c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る