【米国】ベビー部屋に加湿器、医学的メリットは? 医師が見解

健康上のメリットをうたってベビールーム用加湿器が販売されていることを受け、米国の消費者団体コンシューマー・リポートが「赤ちゃんに加湿器は必要か」と題する検証記事を公表した。医師らは「鼻腔の乾燥を抑えて感染症を減らす可能性はあるが、医学上の利点については議論の余地があり、証明されていない。期待できるのは快適性の向上だ」と指摘し、「赤ちゃんにとって必要な製品だと思い込まないでほしい」と呼びかけている。

コンシューマー・リポートによると、ベビールーム用に動物をかたどった加湿器などが登場。「湿度の上昇は鼻血の減少に役立つ」「赤ちゃんの肌の乾燥を防ぐ」などとうたって販売されているという。

こうした健康上のメリットについて、コロンビア大学小児アレルギー専門医のジョイス・ユー准教授は「鼻腔や副鼻腔、上気道の乾燥を防ぐのに役立ち、上気道感染症を減らす可能性はあるが、これらのメリットは医学的に証明されたものではない」と指摘。また、ノースカロライナ大学のデビッド・ヒル医師も「加湿器を購入するメリットは主に快適性が向上することだ」と強調。さらに、ニューヨーク医療グループ「マウント・サイナイ・ヘルス・システム」小児皮膚科のナネット・シルバーバーグ医師も「空気が乾燥した地域においても加湿器は乳児のスキンケア対策の必需品ではない」と説明した。

医師らの話をまとめると、赤ちゃんにとっての加湿器の健康上のメリットは▽風邪を引いた時の鼻水ケアに利用できる(鼻腔を開くのに役立つ可能性がある。ただし、生理食塩水点鼻薬と吸引器を使うほうが直接的で効果的)▽機種によっては睡眠を促す「ホワイトノイズ」を発する――の2点。

一方、メーカーが主張する鼻血の減少については「鼻血は通常、年長の子どもたちの間で起こるものだ」と説明。肌の乾燥防止については「たしかに赤ちゃんは肌の保湿機能が弱いが、定期的なスキンケアの推奨事項に加湿器は入っていない。洗いすぎず優しく洗い、こまめに保湿することが重要だ」とし、加湿器に過剰な期待を持つべきではないと指摘した。

コンシューマー・リポートは「ベビールーム用加湿器を購入することは赤ちゃんの快適さに少し役立つようだ」と結論。購入する場合は米小児科学会が風邪の時の対策として推奨しているクールミストタイプを勧めるとともに、カビを防ぐため小まめな掃除を呼びかけた。

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