肉代替食品の今後を予測 3Dプリンター活用、細胞培養も

肉や魚の植物由来代替食品が次々と登場する中、英国の消費者団体Which?は1月7日、環境影響や栄養価、メリットとデメリット、今後登場する新商品について調査報告をまとめた。

同団体は「植物ベース食品が自動的に健康を意味するわけではなく、実際の肉や魚と比べて高塩分やタンパク質不足の商品がある」と指摘し、栄養成分表示をよく確認するよう呼びかけた。また、食品開発技術は「もはやハイテク」だとし、3Dプリンターや細胞培養を活用した食品が登場する可能性があると報告した。

肉代替食品について、Which?は「豆腐やセイタン(グルテンミート)、テンペなど何百年に渡って食べ続けられた伝統食がすでにあり、発売当時、話題になった人工肉クォーン(Quorn)でさえ、すでに数十年の歴史がある」とし、決して珍しいものではないと強調。直近の傾向としては実際の味と食感を再現することに焦点が移り、ハンバーグ、魚切り身、ベーコンなどの代替食品が広がっていると報告した。

ただし、本物の肉や魚と栄養価が異なる商品も多く、「栄養成分表示をよく確認する必要がある」と指摘。あるハンバーグ代替食品は低カロリー・低脂肪で高タンパク・高食物繊維だが、塩分が実際のビーフハンバーグの2倍以上あった。あるサーモン代替食品は低カロリーだが、炭水化物を多く含み、タンパク質はわずか0.3グラム(実際のサーモンは25.5グラム)だった。

また、環境負荷や持続可能性についても「理論上、実際の肉よりも環境負荷が小さいのは事実だが、現状は複雑だ」とし、豆類・小麦由来食品について、農地開発による森林破壊や加工段階でのエネルギー使用など考慮すべき課題が多いと指摘した。

肉代替食品は長い歴史を歩んできたが、現在、さらなる革新の波が来ているという。イスラエルの企業は3Dプリンターでステーキを開発中。インクの代わりに植物由来タンパク質を何層にも重ねていき、本物そっくりな見た目と食感を目指している。また、シンガポールでは動物細胞を人工培養したチキンナゲットがすでに販売されており、Which?は「畜産における環境負荷や抗生物質問題を解決する可能性がある」と伝えた。

しかし、こうした新開発食品が普及するかは別問題。「価格設定や規制に加え、そもそも消費者が受け入れるのか。技術上の課題も多い」としている。

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