米小売り大手がリコール製品を販売 罰金1300万ドルは低すぎ

米小売り大手TJXカンパニーズがリコール対象製品を故意に販売していた問題で、米消費者製品安全委員会(CPSC)は8月2日、同社が罰金1300万ドル(約17億円)を支払う和解案に応じたと発表した。コンプライアンス体制の再構築と5年間の年次報告書の提出についても合意した。

この罰金額はCPSCが科すことのできる最高額に近いものだが、同社は第1四半期だけで114億ドルを売り上げる巨大企業。消費者団体から罰金の上限撤廃を求める声があがっている。

CPSCによると、TJXカンパニーズは2014年3月から2019年10月にかけて、傘下のT.J.マックス、マーシャルズ、ホームグッズを通じてリコール中の21製品、約1200個を故意に販売するなどしていた。その多くが乳児の窒息事故に関連した傾斜型ベビーベッド製品で、CPSCと同社が19年11月、リコール製品のリコールを共同発表するという不測の事態となっていた。

今回の和解について、消費者団体のコンシューマー・リポートはCPSCの措置を称賛する一方で、「現行法の罰金額では巨大企業の不正行為に対する抑止効果はない。企業に安全への責任を負わせることは重要であり、罰金額の上限を撤廃するべきだ」と訴えた。

TJXカンパニーズの第1四半期決算は売上高114億ドル、利益5億8700万ドル。CPSCのアレクサンダー・ヘーン・サリック委員長もコンシューマー・リポートと同様に「同社の事業規模から考えると罰金1300万ドルは低すぎる。製品安全を担うCPSCにとって深刻な障害だ」と指摘し、議会に罰金の上限撤廃もしくは大幅な引き上げを求める声明を出した。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. PFASワーキンググループ
    食品安全委員会のPFASワーキンググループは4月26日、第8回会合を開き、「PFAS(有機フッ素化合c
  2. 米国の保険関連非営利組織「国家保険犯罪局」(NICB)は5月9日、盗難車に関する2023年報告書をまc
  3. 伝統的易学業界
    国民生活センターも参加、トラブル事例を解説 伝統的な易学の研究・普及に取り組んでいる占い関連団体がc
  4. 消費者庁デジタル班
    詐欺的定期商法など排除へ 事業者への注意喚起通知1600件 インターネット通信販売に関するトラブルc
  5. U.S. PIRG
    プラスチック製品に欠かせない原材料「プラスチックペレット」の環境への放出を禁止する法案が米下院で支持c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る