健康食品、高リスクだと認識しないのもリスク 埼玉で消費者大会

◎食の分科会で畝山智香子さん講演

第58回埼玉県消費者大会が10月25日、埼玉会館(浦和区)で開かれた。午後からの「食の分科会」では、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部部長の畝山智香子さんが「健康食品で健康になれますか」をテーマに講演。食品のリスクについて解説し、「健康食品は健康被害が発生するほどリスクが高いものだが、それを消費者が認識していないというのも別のリスクだ」と語った。畝山さんは「多様な食品からなるバランスのとれた食生活」を勧め、色々な食品を美味しく楽しく食べてリスク分散するよう呼びかけた。

埼玉県消費者大会食の分科会

アマメシバなどの健康被害事例を紹介しながら食品のリスクについて説明する畝山智香子さん。講演後に活発な意見交換がおこなわれた(10月25日、さいたま市にて)

会場とオンラインのハイブリット開催となった大会は午前に全体会、午後に食・消費者課題・映画の3つの分科会が開かれた。食の分科会には約50人が会場参加し、健康食品との付き合い方について学んだ。

講演した畝山さんは、すべての食品になんらかのリスクがあることを解説し、リスクを一定のレベル以下に維持する「リスク管理」の重要性を説いた。健康食品のリスクについては、「長期間にわたり大量摂取するため暴露量が大きくなる」、「死亡者を含む健康被害を出す食品カテゴリーは健康食品しかないというくらい極端にリスクが高い」と指摘。「消費者がリスクを認識していないというのも別のリスクであり、情報のギャップがリスクをさらに大きくしている」と語った。

一方で、リスクを管理する方法として「バランスのとれた食生活」を推奨。「特定の食品を安全だとか危険だとか断定すること自体、食の安全を正しく理解していないということ。食品を安全にするのも安全でないものにするのも、どう食べるかによる。比較的ハザードのある食品でも安全な食べ方はあるし、普通の食品でも変な食べ方をすると死ぬこともある」と述べ、リスク分散を念頭に置いた食生活の実践を呼びかけた。

(本紙「ニッポン消費者新聞」11月1日号より転載)

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 都地消連情報展
    東京都地域消費者団体連絡会(都地消連)は9月25日と26日の両日、東京都消費生活総合センターで「消費c
  2. コンシューマーリポート
    ◎子どもの多動性リスクを懸念 米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が9月28日、州内の公立c
  3. 国民生活センター
    ◎国民生活センター、悪質手口を公表 「サギ列島日本」の一端がまた浮きぼりになった。国民生活センターc
  4. ニッポン消費者新聞2024年1月号
    特集 紅麹サプリ事故 海外で集団訴訟 日本の消費者団体は反対運動準備 ~食品被害救済制c
  5. 東京都消費生活総合センター
    東京都消費生活総合センターがまとめた「令和5年度消費生活相談年報」によると、2023年度に都内窓口にc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る