水辺のごみ調査 昨年は延べ6801人参加 有料化でレジ袋減少

◎カップ容器は増加 「川ごみは社会を反映」

市民が全国の水辺でプラスチックごみを拾い、その個数を報告する「全国水辺のごみ調査」の2022年結果が報告された。主催する全国川ごみネットワーク(東京都江戸川区)によると、近年はレジ袋が減少する一方でカップ型飲料容器が増えており、「世の中での利用量が増えるに従い、散乱するごみが増える。川ごみは社会を反映している」と分析する。

水辺のごみ調査

2022年9月、琵琶湖でのごみ調査の様子(写真:「釣り人による清掃活動」提供)

この調査は身近な水辺のごみを拾い、ペットボトル、レジ袋、カップ型飲料容器の個数を報告するもの。調査を通じてごみ問題に関心を持ってもらい、散乱防止や環境保全につなげる狙い。2016年にスタートし、7年目となる今回は延べ6801人が参加して726件を報告、調査地点は過去最多の40都道府県となった。新たに国土交通省の河川管理者が加わり、市民では調査できていなかった地点でのデータも集まった。

その結果、調査・回収された飲料ペットボトルは2万8842本(前年比999本減)、レジ袋は5312枚(前年比764枚減)、カップ型飲料容器は4830個(前年比2499個増)。調査地点や報告件数が毎年異なるため単純比較できないが、近年はレジ袋が減少し、カップ型容器が急増する傾向がみられた。

ネットワーク事務局の伊藤浩子さんは「2020年7月のレジ袋有料化に伴い、調査されたレジ袋数は減っている。一方でカップ型容器はコンビニカフェやタピオカドリンク、ストローをさして飲む飲料容器など世の中での利用量が増えるに従い、散乱するごみが増えている。川ごみは社会を反映している」と分析した。

伊藤さんは「レジ袋の減少は制度が変わることによって散乱ごみが削減できることを示すもの。ペットボトルであればデポジット制度を、カップ型容器は有価物であることを実感するような回収の仕組みをつくることが削減につながると考える。事業者が散乱を防ぐ仕組みや回収に責任を持ち、消費者もそのような仕組みや商品を応援できるよう盛り上げていく必要がある」とコメントした。

今年の全国水辺のごみ調査は4月から始まっており、11月末まで実施する。現在、参加者を募集中。個人でも参加でき、拾えない場合は目視での個数調査だけでも可能。調査するごみはペットボトルだけでもよい。伊藤さんは「街のごみも水路や川を通って海へと流れ、拾えないごみとなる。海のプラスチックごみを減らすためにも身近な水辺で拾うことが大切。いつでも・どこでも・誰とでも、1人でも参加できるのでぜひ協力を」と呼びかけている。

参加方法や報告シート、注意ポイントなどの詳細は同ネットワークホームページ参照を。

(本紙「ニッポン消費者新聞」5月1日消費者月間特集号より転載)

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 松永和紀さん
    ◎大阪消団連主催の講演会で 「今回の制度改正では再発防げない」と指摘 食品安全委員会委員を務める科c
  2. オーストラリア競争・消費者委員会
    オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は9月23日、スーパー大手のウールワースとコールズの豪州c
  3. キッズデザイン賞
    ◎消費者担当大臣賞は「キッズフリマ」が受賞 子どもの視点を持つ優れた製品や施設、取り組みなどを表彰c
  4. 東京都商品等安全対策協議会
    水辺のレジャー中の水難事故が毎年発生していることを受け、東京都は9月19日、都商品等安全対策協議会(c
  5. コンシューマーリポート
    入浴中の赤ちゃんの死亡事故が発生している「乳児用首浮き輪」を巡り、米国消費者製品安全委員会(CPSCc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る