福島県産食品購入は「応援」がトップ、基準値「不安」は2割

消費者庁は3月7日、「消費者の理解増進を図る風評被害対策」の一環として、被災県と大消費県11都府県の消費者アンケート調査に取り組んでいるが、その第11回目の調査結果を公表した。放射性物質を理由に福島県産食品の購入をためらう消費者はこれまでの調査結果の中で一番低い12.7%となった。今回は、全国47都道府県に拡大させた別のアンケート調査も実施し、福島県産食品の購入理由に「生産者の応援」をあげた消費者が半数近くいたことがわかった。

消費者庁によると、今回のアンケート調査は従来から継続してきた「風評被害に関する消費者意識の実態調査」としての「食品中の放射性物質等に関する意識調査」と、同アンケート結果では確認しきれない消費者意識を把握するための「放射性物質をテーマとした食品安全に関するインターネット意識調査」の2種類。前者は被災4件を含む大消費県11都府県の消費者約5176人が対象。後者は47都道府県の消費者7050人に対象範囲を拡大させたもの。

調査では、放射性物質を意識して福島県産食品の購入をためらう消費者の割合が12.7%と過去最少値を示し、「放射性物質に対する拒否感は薄らぐ傾向が継続している」との結果となった。

初めて実施した全都道府県の消費者対象のアンケ―ト調査では、福島県産食品4品目(野菜・果物・コメ・牛肉・魚介類」のうち、少なくとも1品目について「購入している」人は18.1%。4品目すべてについて「購入していない」人は18.5%いることがわかった。

「購入している」理由としては「福島県や福島県の生産者を応援したいから」「おいしいから」「安全性を理解しているから」という回答がそれぞれ、40.9%、38.3%、27.3%と上位を占めた。

それに対し、「福島県産の食品を購入しない理由」としては、「特に理由はない」が42.5%でトップ。次いで、「日常生活の範囲で売られていないから」が33.2%と続いた。「放射性物質が不安だから」は13.9%だった。

今回の全国対象の新しい調査では食品中の放射性物質のリスク管理についても尋ねた。基準値未満の食品に不安を感じる人が約2割いた。一方、従来の11都府県対象の調査では、「基準値以内であってもできるだけ放射性物質の含有量が低いものを食べたい」と回答している人は4割。「基準値をもっと厳しくするべきだ」との回答は1割強だった。

これら調査結果を踏まえ消費者庁は、「引き続きリスクコミュニケーションを推進し、伝達すべき情報や手法の精査に取り組む」としている。また、「食品と放射能Q&A」の冊子を改定し、英語・中国語・韓国語などの「外国語版」も作成する予定。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. ミツカン味ぽん
    ミツカンが1970年代から提案を続けている「焼肉×味ぽん」が最強の組み合わせであることが、味覚センサc
  2. トウモロコシ
    米国の消費者団体コンシューマー・リポートが「驚くべき健康効果を持つ7つの食品」の一つとして、ポップコc
  3. 消費者庁
    消費者庁は1月1日に発生した能登半島地震に関連した消費生活相談について、地震発生後1カ月間(1月1日c
  4. 日本生活協同組合連合会
    日本生活協同組合連合会が注力するエシカル消費対応商品の販売が好調だ。2023年度の総供給高(売上高)c
  5. 英国の消費者団体Which?
    獣医療業界の価格設定や治療に関する情報が不透明で、消費者が最善の決定を下せる状況にないとして、英競争c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る