【米国】今年生まれた赤ちゃんは50万ドル損失 気候変動で

4月22日のアースデイを前に、米国の消費者団体コンシューマー・リポートは気候変動が消費者の財布に与える影響について調査し、このままのペースが続くと2024年に生まれた赤ちゃんは生涯で最大50万ドル(約7700万円)のコスト増を強いられると予測した。生活コストが増え、収入が減るとの見通し。この調査では脱炭素に向けて世界が迅速に行動すれば、これらのコストを大幅に削減できるとも述べている。

調査は世界的なコンサルティング会社ICFが同団体の委託を受けて行ったもの。温室効果ガスがこのまま排出された場合、今年生まれた赤ちゃんが80歳に近づく2100年までに平均気温が4℃以上上昇し、これにより生活コストの増加と収入の減少が想定されるという。

生涯の生活コストは25万5000ドルの増加。最も大きいのが住宅関連で、災害による修理、維持費、保険料の高騰など重い負担を強いられる。さらに、エネルギーコストの増加(光熱費の上昇と冷暖房の頻繁な使用)、食品価格・医療費・交通費の増加が追い打ちをかける。

一方、収入の減少は22万5000ドルに達する見通し。その多くが増税によるもので、インフラの損傷、医療制度のひっ迫、企業収益の減少による税収低迷などで国は増税を余儀なくされる。異常気象による労働時間の減少、健康リスクの増大も収入が減る要因としている。

また、その他の要因を含めると100万ドルに達するとも予測。気候変動が多くの人の退職後の貯金を食い荒らす上、株式投資から得られるであろう収益が低下する可能性が高いとする。気候変動が企業収益に与える影響は思いのほか大きく、ひっ迫する原材料調達へのコスト、労働者の生産性低下、施設の温度管理にかかる追加支出、低炭素化への移行コストなどが重くのしかかる。株式で運用する年金への影響も見逃せないと指摘する。

気候変動による影響は不確実性が高いため、予測の多くが仮定と推測に基づいているが、コンシューマー・リポートは「気候変動問題を個々の消費者レベルに落とし込むことが今回の調査の狙い。何が危機に瀕しているのか、すべての人々の協力なぜ重要なのかをぜひ理解し、日々行動してほしい」と呼びかけている。

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