【米国】EPAがPFAS基準値を設定 「歴史的」と称賛の声

米環境保護局(EPA)は4月10日、飲料水中のPFAS(有機フッ素化合物)について、強制力を持つ初の基準値を設定した。特に問題視されているPFOSとPFOAについてはそれぞれ「4ppt」(ppt=ng/l)とし、これまでの生涯健康勧告値「2物質合算で70ppt」(強制力なし)から大幅に引き下げた。

最終決定を受け、消費者団体のコンシューマー・リポートは「新しい基準は、飲料水中の広範なPFAS汚染に対処し、知らず知らずのうちに危険な化学物質に連日さらされている数百万人のアメリカ人を守る重要な一歩となる」と称賛。今回の案が示された昨年3月には「歴史的な提案だ。科学に従ったという点でEPAは本当に素晴らしい仕事をした」と最大限の賛辞を贈っていた。

新たな基準値では、PFNA、PFHxS、GenX化合物にもそれぞれ10pptを設定。さらにPFNA、PFHxS、PFBS、GenX化合物の4種類のうち2種類以上の混合物に対して10pptの制限を設けた。EPAは「これらの物質は一緒に存在することが多く、組み合わさると有害となる可能性がある」と指摘している。

さらに規制の枠組みから外れる個人の井戸(米国人のおよそ8人に1人が飲料水に使用)に対して総額10億ドルを計上し、一般家庭に水質検査・処理費用を支援していく。これらすべての措置により、約1億人がPFASの暴露を軽減できると試算する。

基準値の設定について、EPAのマイケル・リーガン長官は「EPAがこれまでに行ったPFASに関して最も重要な措置だ」と強調。「この措置により数千人の死亡を防ぎ、数万人の重篤な疾病を軽減することができる」と記者団に語った。EPAは発表資料の中で「今回の基準値は効果的な規制を行うための実現可能な最低水準として設けたものであり、公衆衛生上の最終目標はゼロにすることだ」と表明している。

コンシューマー・リポートは「最も危険とされる6種類のPFASに制限値が設けられたことは大歓迎だ。飲料水を汚染する可能性のあるそのほかのPFASについても速やかに制限値を設けてほしい」と次なる一歩を求めた。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. フランス消費者同盟
    中国家電大手ハイセンスのテレビの品質が著しく向上していることが、フランスの消費者団体UFCの商品テスc
  2. 大正製薬に行政処分
    消費者庁は11月13日、大正製薬が販売する「NMN taisyo」と称するサプリメントに関する表示にc
  3. APLジャパン
    ◎海外の安全施策踏まえ日本の課題紹介 製品メーカーや販売店をはじめ、研究者、一般消費者なども対象にc
  4. パブリック・シチズン
    トランプ次期大統領から政府効率化省の共同責任者に任命されたイーロン・マスク氏が11月27日、自身が所c
  5. 日本消費者協会田中大輔さん
    日本消費者協会理事・事務局長 田中大輔さん ◎適正・的確に消費者情報を発信へ 「利便性向上の影でc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る