クルミのアレルギー表示義務化に賛成 全国消団連が意見提出

◎ナッツ類の義務化に向けた検討も要望

アレルギー表示の義務対象に「クルミ」を追加する食品表示基準の一部改正案について、全国消費者団体連絡会(全国消団連)は11月9日、賛成する意見書を消費者庁に提出した。消費者庁は11月12日を期日としたパブリックコメント後、消費者委員会への諮問を予定するなど施行に向けた手続きを進めている。全国消団連は同庁に経過措置期間と施行期日の迅速な設定と具体的なスケジュールの公表を求めている。

クルミによるアレルギーが増加していることを踏まえ、全国消団連は「(表示の義務化により)健康被害の発生の防止につながることは重要」として改正案に賛成を表明。一方、表示の検証に必要な検査方法が現状では完全でないことについて触れ、「早期に検査・検証の状況が整い、表示の義務化が実効性をもって実現するよう望む」と求めた。

さらに木の実類全体のアレルギー症例比率が増えているとし、「カシューナッツ」や「マカダミアナッツ」などの品目についても、検査方法の確立や表示義務化に向けた検討を早期に行うよう要望した。

消費者庁による3年ごとの実態調査によると、2020年における即時型食物アレルギー症例6080件のうちクルミは463件と、全体の7.6%を占めた。05年~14年までの4回の調査では、いずれも1%台だったが、17年は5.2%に跳ね上がり、20年は義務表示の落花生(6.1%)を上回った。

また、原因物質別ではクルミを含めた「木の実類」が「小麦」を上回り3位に浮上。上位品目の鶏卵、牛乳、小麦が05年以降、ほぼ横ばいなのに対し、木の実類は14年以降、増加が目立った。この理由について、調査報告書では「05年以降のクルミの年間消費量、カシューナッツおよびアーモンドの年間輸入量は漸増しており、国内消費量の増加が要因の一つ」と推察している。

現在、表示が義務付けられているのはえび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の7品目。義務ではないものの表示が推奨されるものとしてクルミ、ごま、さば、キウイフルーツなど21品目が規定されている。2001年創設のアレルギー食品表示制度は義務表示5品目でスタートし、08年にえび、かにが追加された。

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