【仏国】消費者調停制度10周年 利用が拡大、解決率は85%

消費者と事業者との間で発生した紛争を無料で解決するフランスの「消費者メディエーション(調停)制度」が2026年、発足10周年を迎えた。仏政府が3月6日に公表したプレスリリースによると、2024年の申立件数は約21万件であり、2017年比で113%増と大幅に拡大している。仏政府は「消費者が円満に紛争を解決できるこの無料サービスは、消費者社会において徐々に定着しつつある」と評価している。

同制度は、商品やサービスをめぐって事業者との交渉が不調に終わった消費者が、無料で調停人(メディエーター)に申し立てできる裁判外紛争解決(ADR)の仕組み。現在、77機関が調停人として登録され、直近3年間の依頼処理件数は2022年に16万件、2023年に19万8000件、2024年に21万件以上と年々増加している。業界別では保険、銀行、旅行・観光、Eコマース、エネルギーといった身近な分野での活用が目立つ。完了した調停の85%は当事者双方が合意して解決に至っている。

また、この制度は任意ではあるものの、事業者側が調停手続きへの参加を拒否する割合は受理件数の10%未満にとどまっている。仏政府は「事業者の関与度は満足いくものであり、この友好的な方法を用いて消費者の信頼を高めようとしていることは明らかだ」と振り返る。

制度はさらなる進化も予定されている。EU指令の改正(2025年12月)を受け、フランスは2028年3月までに制度を刷新する。主な改正点は▽調停申立に対する20営業日以内の回答の義務化▽AIを活用した調停処理の効率化▽管轄範囲の拡大――など。特に虚偽広告や不十分な契約前の説明といった「契約締結前の段階における事由」についても対象とする点が消費者にとって大きな改正点とされる。越境商取引への対応も強化され、EU域外に拠点を置く事業者がEUの消費者に向けて営業する場合、制度を提供することが求められる。

セルジュ・パパン中小企業・商業・手工業・観光・購買力大臣は「消費者調停は今や消費者保護の柱の一つ。無料で効果的であり、誰もが紛争を解決できる制度だ。消費者・事業者双方にメリットがあり、この恩恵を誰もが受けるべきだ」とコメントしている。

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