米当局、保証書の改善命令を連発 「修理する権理」確保に本腰

家電製品や電子機器などの保証書でよく見かける「非純正部品を取り付けた場合は保証対象外」という条項――。この条項をめぐり「消費者の修理する権利を不当に制限している」などとして、米連邦取引委員会(FTC)がマグナソン・モス保証法に基づく改善措置命令を連発している。FTCは「修理権を侵す企業への対処が我々の重要な優先事項であるという紛れもないメッセージだ」と宣言。すべての製造・販売事業者に対し「ただちに保証書の内容を見直して改善する必要がある」と警告した。

措置命令を受けたのは、グリルメーカーのWeber-Stephen Products、オートバイ大手のハーレーダビッドソン・モーターカンパニーグループ、屋外発電機メーカーのMWEインベストメンツの3社。FTCは2週間あまりの間に3件の措置命令を連発し、産業界に警告を発した形だ。

FTCによると、ウェーバー社はグリル製品の一部製品のユーザーマニュアルや保証の中で「非純正部品を使用または取り付けると保証は無効になる」などと記載。ハーレーダビッドソン社は「中古部品を使用した場合、限定保証の一部またはすべてが無効になる」、MWE社は「弊社の許可しない方法で修理サービスをおこなった場合、保証は無効」など規定していた。

マグナソン・モス法では、メーカーが修理に制限をかけることを原則禁止しており、例外として▽純正部品でのみ正常に作動する場合はそれを証明し、FTCに事前に届け出て免除を受ける▽部品・修理サービスを限定する場合は無償提供とする――ことを規定している。FTCによると、3社は免除を受けておらず、無償修理の提供についても記載していなかった。

修理する権利をめぐってはFTCが昨年7月、取り締まりの強化を明言し、「消費者の修理に対する選択肢が広がると修理代が下がり、サービスが迅速に提供され、企業間競争が生まれるという利点がある」と強調していた。

FTCは産業界に向けて「最後に保証書を確認したのはいつか、思い返してほしい。今こそコンプライアンスチェックをおこなう時だ」と呼びかけている。

関連記事

消費者運動年鑑2022

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. NITE上げ下げ窓事故
    寒さが緩み、窓を開ける機会が増えるこの時期にあわせ、NITE(製品評価技術基盤機構)は3月23日、窓c
  2. インターネット上で格安料金をうたい、作業後に高額料金を請求するロードサービス業者とのトラブルが複数発c
  3. 東京都健康安全研究センター
    京都府で昨年、店舗で購入した生食用牛肉(ユッケ)を食べた90歳代女性が腸管性大腸菌O157に感染してc
  4. スマートフォン
    就寝前のデジタルメディア利用は、子どもの睡眠時間の短縮や睡眠の質低下につながる――。こうした研究報告c
  5. 消費者庁
    ◎「契約の成立の時期」に関する正答率、19歳以下が高く 消費者庁は2月2日、「消費生活意識調査結果c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る