“第三の黒船”外資系証券の監視・チェックを 椎名麻紗枝さん🔒

弁護士、銀行の貸し手責任を問う会事務局長・椎名麻紗枝さん
◎「行政は国民の護民官たれ」 監督権限、正当に行使を

「このままでは庶民の現預貯金が外資系の金融商品取引業者に食い潰されてしまいます。ハゲタカが生活基盤である庶民の現預貯金を餌食にしようとしている、そう思わざるを得ない事態が進行しています」

原爆、医療、金融……。幅広い分野で被害者と活動を共にしてきた椎名麻紗枝さん。被害者目線に立った取り組みは60年近い弁護士活動の基底に流れる。1996年に設立した「銀行の貸し手責任を問う会」の活動もその一つだ。バブル期の銀行の放漫経営と過剰債務の強要、バブル崩壊後の不良債権処理のための中小零細業者に対する過酷な取り立て、それによる事業破綻や自殺への追い立て。そのほとんどが「貸し手責任」を問おうとしない金融政策を背景に発生した。椎名さんは、これら深刻被害は、国民を無視し「金融黒船」に対応しなかった政府・行政の責任として厳しく批判してきた。

銀行の貸し手責任を問う会事務局長・椎名麻紗枝さん

「現在は、第三の金融黒船の襲来と言えます。第一は80年代の変額保険。外資の要求で変額保険が認可され、それを突破口に海外保険会社の市場参入が開始されたときです。当時、融資拡大に躍起となっていた大手銀行は変額保険が相続税対策の提案融資に最適として融資と一体で大量に販売した。バブル崩壊後には変額保険運用が悪化し、融資金の返済に困窮した高齢者が多数生まれた。中には自殺によって返済するという悲劇も発生したのです」

第二の「黒船」は90年代のバブル崩壊時の不良債権処理をめぐっての襲来だ。椎名さんは、98年の金融サービサー法(債券管理回収業特措法)の制定で外資ファンドの不良債権市場の参入を許したことが大きいと指摘する。

「不良債権回収を名目にした企業の乗っ取りが……(以下続く)

(本紙12月1日号「消費者問題はいまー提言」欄より一部転載)

この記事の続きは以下の会員制データベースサービスで購読できます
📌ジー・サーチ データベースサービス
📌日経テレコン
📌ファクティバ

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. コンシューマーワイド 食品ロス問題は持続可能な未来を目指す国際社会の課題になっている。SDGsは1c
  2. unicharm
    消費者共創と協働 夜用のショーツ型ナプキンの昼用として10月に発売した。商品名は「ズボンを脱がずにc
  3. ニッポン消費者新聞2025年1月1日号
    特集 悪質商法対策プロジェクトチーム 消費者庁が立ち上げ、高市首相の国会答弁ウケ ~関c
  4. 消費者庁
    食品の流通量が増える年末に向けて、消費者庁は都道府県と連携して年末一斉取締りを実施する。年末一斉取りc
  5. 除雪機の事故
    冬シーズンが始まる12月に、除雪機の事故が多発しているとして、NITE(製品評価技術基盤機構)が注意c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る