国セン・山田昭典理事長 デジタル対応・情報発信、より積極化🔒

消費者月間特別インタビュー

◎パイオネット刷新、不断に見直し ADR事業・オンライン研修事業も推進

今年の消費者月間では、デジタル時代での消費者力向上が提唱される。「気づく」「断る」「相談する」――。これらの重要性が呼びかけられ、各地で関連イベントが開催される。ニッポン消費者新聞は消費者月間にちなみ、国民生活センター・山田昭典理事長に同センターの今後の取組をインタビューした。山田理事長は適切・迅速な情報発進を推進し、消費者の消費者力アップを支援していくことを表明。全国の自治体職員・相談員対象の研修事業をはじめ、国境を越える消費者トラブルや訪日観光客の相談対応も積極化させていくとする。また、消費者団体訴訟制度の支援、同センターADR事業の整備などにも力を入れ、幅広い取組への期待に応えていくことも示唆した。インタビューでは主に、相談業務のDX、消費者被害の防止・救済、国際トラブルへの対応などを中心に方針を尋ねた。山田理事長の発言概要は次の通り。

山田昭典・国民生活センター理事長

◎デジタル社会への対応、情報発信、より積極化

今年の消費者月間のテーマは「デジタル時代に求められる消費者力とは」です。通信分野などでデジタル技術が急速に生活に浸透する中、消費者にはかつてない消費者力が求められるようになりました。国民生活センターは消費者被害の防止や救済、適正な情報発進などを通して消費者の「消費者力」の向上を支援する活動にいっそう力を入れてまいります。

私は理事長に就任した時、今のデジタル社会の特徴と当センターの役割を車の運転にたとえて説明したことがあります。デジタル社会とは、誰もが、いつでも、どこでも、世界につながることを特徴としています。しかし、まだまだデジタル社会の道路には至るところに穴があり、急カーブもあります。思わぬ事故にあいかねない難所もあります。この道路環境のもと、消費者側もちょうど運転免許を持たないままに運転しているようなもので、極めてリスクの高い走行環境に置かれています。

そのような中にあって、当センターの役割は、運転の方法や守るべき法規制を教える自動車教習所にまではなれないが、未整備な道路に適正な標識や信号機の設置を提案するなど道路環境整備や、ルールに関する情報を提供したりするものと考えます。道路の穴に落ちる人がいれば素早く引き上げる、そういう被害救済も含めた役割発揮が期待されているのが当センターであり、デジタル社会が進展するほどに、消費者の利益を重視した消費者対応の実践が当センターに求められている、と実感しています。

デジタル社会をこのような運転環境にたとえるなら、その中での消費者力とは、標識の内容や意味を知り、ルールの中身を消費者自身が認識・実践し、安全運転へと適切に活かしていくことにあるのではないでしょうか。当センターには、その重要性を消費者に伝えていく力が求められ……(以下続く)

(本紙「ニッポン消費者新聞」5月1日消費者月間特集号より一部転載)

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