新井ゆたか長官インタビュー 「グリーン志向消費」の実践を🔒

消費者月間特別インタビュー

今年の5月の消費者月間は「明日の地球を救うため、消費者にできること グリーン志向消費~どのグリーンにする?~」を統一テーマに掲げ、消費者・事業者・行政が一体となって、全国各地でイベントを開催する。記録的な豪雨や猛暑など異常気象の影響による災害が頻発する中、環境に配慮したグリーン志向消費の重要性と実践を呼びかけていく。ニッポン消費者新聞は消費者月間にあわせ、消費者庁の新井ゆたか長官にインタビューを行った。新井長官は、消費者の地球環境問題への関心は高い一方で、実際の消費行動は必ずしも環境に配慮したグリーン志向の消費行動を選択していないと指摘。この機会に、どんな消費行動が地球環境にとって良い行動なのか、自身の消費行動を振り返ったり考えたりして、地球を守る消費行動を実践してほしいと呼びかけた。消費者庁はウェブサイトに、グリーン志向消費に関する行動チェックリストを掲載。月間ポスターのQRコードを読み取るとそれぞれのチェックリストの項目に飛ぶといった仕掛けを用意した。ポスターを見かけた際はぜひアクセスし、グリーン志向消費を楽しんで実践してほしいとしている。

新井ゆたか消費者庁長官

消費者月間ポスターにスマートフォンをかざす新井長官。行動チェックリストに飛ぶ仕組みだ

◎中心にいる消費者

国内外を問わず、毎年のように記録的な大雨や高温など異常気象の影響による災害が発生しています。地球温暖化による影響をひしひしと感じている人も多いと思いますが、日本の消費者の地球環境問題への関心は高い一方で、実際の消費行動は必ずしも環境に配慮したグリーン志向の消費行動を選択していないという実態も浮かび上がっています。国連が定めたSDGs2030年目標があと5年と最終的な段階に入っていることもあり、今年の消費者月間は「グリーン志向消費」をテーマに設定し、消費者の行動変容を促す機会としました。

昨年10月にフランス・パリで開かれたOECD消費者政策閣僚会合においては、「デジタル及びグリーン移行の中心にいる消費者」が中心議題となりました。消費者はこれらの移行に関して責任を持ち、かつ、持続可能なライフスタイルの移行のために消費者自らが行動を起こしていくということが大きな議論になったところです。

また、国際消費者機構(CI)が提唱する3月15日の世界消費者権利デーにおいても、「持続可能なライフスタイルへの公正な移行」が今年のテーマとして掲げられました。消費者が持続可能で健康的なライフスタイルを選択できるよう、海外では喫緊の課題について議論を深められたと聞いています。

地球規模の危機を解決するには、その中心にいる消費者の行動が不可欠であるという認識は国際的な潮流となっています。デジタルの良し悪しを決めるのも消費者、グリーンの良し悪しを決めるのも消費者であり、まさに消費者が社会を変えていくわけです。昨年、一昨年の消費者月間はデジタルをテーマに掲げましたが、今年は「グリーン志向消費」とし、自らの行動をどう変えていけばいいのかを一体となって考え、そして実践していければと考えます。

◎環境問題は“自分事”

消費者庁では昨年11月、産業界を含めた有識者による「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム」を立ち上げました。グリーン志向の消費行動、つまり、環境に配慮された商品・サービスを理解し、意識的に選好するなどの行動を積極的に実践するよう促していくため、現状どのような課題が存在するのかを分析し、具体的な取り組みの方向性についても検討を試みました。

今年2月に行った取りまとめでは、日本の消費者は気候変動の影響を体感しつつも、ライフスタイルを転換する必要性の認知が不足しており、意識や行動につながっていないという実態が指摘されました。背景として、環境問題を自分事化するまでには至っていないこと、海外と比べて危機感が欠如し、「誰かが何とかしてくれる」という期待バイアスが働いている可能性があることなどがあげられ……(以下続く)

(本紙「ニッポン消費者新聞」5月1日消費者月間特集号より一部転載)

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