古いガスこんろは買い替えを 安全装置ない製品で事故多発

誤使用によるガスこんろの事故が2018年度までの6年間に99件起きていたことが5月23日、NITE(製品評価技術基盤機構)の調べでわかった。天ぷら調理中にその場を離れて発火したり、放置した油汚れに引火したりする事故が起きているほか、安全装置の付いていない古いこんろよる事故も目立った。NITEは「ガスこんろの事故は火災に直結し、やけどなどの被害につながりやすい」として、適切な使用と安全性の高い製品への買い替えを呼びかけた。

NITEガスこんろ事故

油汚れの付いたグリルで発火。扉を開けると炎が大きくなるため、消えるまで開けないこと(NITE再現実験より)

ガスこんろの事故は2013~18年度の6年間に225件あり、そのうち99件が誤使用によるものとわかった。誤使用による事故で1人が死亡、28人が重軽傷を負い、96件で火災となっていた。

誤使用で目立ったのは▽調理油が過熱して発火(24件)▽グリルの消し忘れなどで庫内の食材が発火(22件)▽こんろ周囲の可燃物が発火(18件)▽グリル庫内の油脂・食品カスが発火(15件)――など。また、99件の事故のうち92件(93%)は安全装置のない古い製品を使っていた。

ガスこんろは08年に安全装置の搭載が義務付けられ、天ぷら油が高温になると自動消火する「調理油過熱防止装置」と煮こぼれで火が消えた際にガスを遮断する「立ち消え安全装置」が標準装備された。これらに加えて、消し忘れ消火機能や焦げつき消火機能など、メーカー独自の安全機能を装備した製品も次々と登場している。

安全機能を高めた製品の普及により、これまで事故は減少傾向が続いてきたが、2016年度の24件を底に17年度27件、18年度37件と増加に転じていた。増加の理由について、NITE製品安全センターの向井祐太主任は「高齢化の進展に加えて、2008年の規制開始から10年が経過したところでの製品寿命の可能性も考えられる」と説明した。

NITEが示した事故防止ポイントは▽調理中はその場から離れない▽近くに燃えやすいものを置かない▽衣服への着火に気をつける▽グリルは使用後、こまめに掃除する▽グリル庫内で食材が発火した時は扉を開けない▽煮こぼれ・油汚れはきれいに拭き取る――など。08年以前の古い年式の製品を使っている場合は買い替えの検討を呼びかけた。

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