ベビーゲートの事故・ヒヤリハット、47%が経験 都が調査

安全確保に役立つ一方で、使用方法によっては子どもの事故が起きているベビーゲート(安全柵)――。東京都の調査により、家庭内での使用実態の一端が明らかになった。

調査結果によると、使用者の47%が事故やヒヤリハットを経験していたほか、最も普及するつっぱり式の製品で事故が多く起きていることが判明。製品の対象年齢である2歳を超えて使い続けたり、階段の上につっぱり式製品を設置したりするケースも確認された。都はこれらのデータをもとに安全対策の議論を深め、来年2月をめどに提言を公表する方針だ。

実態調査結果は11月7日、メーカーや消費者団体も参加する都商品等安全対策協議会の第2回会合で報告された。

ベビーゲート

つっぱり式、ねじ止め式、据え置き式など様々な取り付け方法があるベビーゲート(8月5日開催の第1回協議会にて撮影)

それによると、6歳未満の子どもを持つベビーゲート(ベビーフェンス含む)使用者1008人のうち475人(47.1%)がけがやヒヤリハットを経験。ほとんどが「柵が外れた」「閉め忘れて柵を通り抜けてしまった」「けがをしそうになった」などのヒヤリハット事例だったが、71人が実際にけがをして、うち18人が入院していたことがわかった。

また、けが・ヒヤリハット事例の69.1%がつっぱり式を中心とした取り付けるタイプの製品で発生。発生場所は台所と階段に集中し、台所が58.1%、階段の上が18.9%、階段の下が10.5%などの順。階段の上ではけがの発生が多くなり、入院事例の半数を占めたほか、台所ではヒヤリハット事例の割合が高かった。製品の対象年齢である「2歳(24カ月)以内」で使用を止めた事例は27.3%にとどまり、2歳を超えても使い続けている家庭が72.7%にのぼることもわかった。

全国ベビー&シルバー用品協同組合などによると、ベビーゲートの耐用年数は2年が目安。安全対策として、加盟メーカーは独自につっぱり式製品の階段の上への設置を不可としたり、外れるのを防ぐ固定用カップの使用を推奨したりしている。しかし、近年はインターネットを通じて海外品やリユース品が多数流通し、状況把握が困難になっているという。

都は協議会で安全対策のさらなる検討を行い、2月をめどに提言を公表する方針。家の壁を傷つけたくないとして、外れにくいねじ止め式を避ける人も多いことから、新たな固定方法の検討をメーカーに求めるほか、衝撃に強い商品改善、警告表示の強化、使用時の注意点など、調査結果を反映させた対策を盛り込む考えだ。

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