【豪州】住宅保険の「火災」の定義ばらばら 政府主導で統一を

大規模な山火事が起きたオーストラリアにおいて、住宅・家財保険の「火災」の定義が保険会社ごとにばらばらで、補償されないケースがあるなどとして、豪州の消費者団体CHOICEは2月26日、業界での統一化を求めるキャンペーン運動を開始した。同団体は「洪水における標準的な定義がすでにあるのに、火災においては保険会社が好きなように定義し、請求を拒否している。業界がこの問題に対処しないならば政府が介入すべきだ」と訴えた。

豪州で起きた大規模な山火事の経済損失は推定1000億ドル。こうした自然災害の発生時にこそ保険会社が果たす役割は大きいが、CHOICEの調査では、26の住宅・家財保険のうち7割に問題があることがわかった。山火事による損害の補償を適正に明示していたのはアリアンツ、ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)、CGU、Comminsure、TIOなど一部の保険会社。そのほかの保険会社は火災の定義が複雑・不明瞭・不公正な上、紛らわしい除外項目を設定するなどしていた。

例えば、住宅に着火しなかった場合は補償対象外とし、煙や熱による損害をカバーしない保険もあった。中には自宅から10メートル以内の建物が焼損した場合のみ補償するという保険もあったという。同団体は「こうしたトリッキーな条件は、火災保険に加入する際の消費者に単純な期待とは大きく乖離している」と指摘した。

2011年にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州を襲った大洪水では保険加入者の多くが補償の対象外となり、保険業界に批判が殺到。政府主導のもと、翌年には「洪水」の統一的な定義が導入された。

CHOICEのキャンペーンには、すでに約3万5000人が参加。2月26日にはキャンベラを訪問し、政府に火災の定義の統一化を要請した。同団体は「すべての自然災害において標準的な定義が必要だ」と訴えている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. PFASワーキンググループ
    食品安全委員会のPFASワーキンググループは4月26日、第8回会合を開き、「PFAS(有機フッ素化合c
  2. 米国の保険関連非営利組織「国家保険犯罪局」(NICB)は5月9日、盗難車に関する2023年報告書をまc
  3. 伝統的易学業界
    国民生活センターも参加、トラブル事例を解説 伝統的な易学の研究・普及に取り組んでいる占い関連団体がc
  4. 消費者庁デジタル班
    詐欺的定期商法など排除へ 事業者への注意喚起通知1600件 インターネット通信販売に関するトラブルc
  5. U.S. PIRG
    プラスチック製品に欠かせない原材料「プラスチックペレット」の環境への放出を禁止する法案が米下院で支持c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る