米国でウォータークライシス 消費者団体と新聞社が実態調査へ

水道料金の高騰やヒ素汚染などにより、手頃な価格で安全な水が入手できない事態になっているとして、米消費者情報誌コンシューマーリポートと英新聞大手ガーディアンメディアグループのガーディアンUSが6月23日、1年間の実態調査「アメリカズ・ウォータークライシス(米国の水危機)」プロジェクトを開始すると発表した。

ガーディアンによると、2010年~18年にかけて一部の都市で水道料金が80%上昇していることが判明。貧困層など数百万人が支払いに苦しみ、供給を止められたり、転居を余儀なくされたりする危険性があった。さらに今年に入って新型コロナウイルス流行が直撃し、失職した労働者層も支払いに苦慮する事態に陥っているという。

一方、コンシューマーリポートは10年以上に渡り、水道水の鉛やボトルウォーターのヒ素など有害物質汚染に関する問題を追跡。飲料メーカーが低価格で大量の水を優先的に使用している実態なども報告してきた。

これらの問題の根底にはインフラの老朽化、環境汚染、気候変動、不平等、貧困などの社会的課題が複雑に絡んでいるといい、両者は連携して実態調査に乗り出す方針。コンシューマーリポートのマルタL.テラードCEOは「汚染された水の潜在的な有害性について徹底的に調査し、安全性を求める運動につなげていきたい」とコメント。ガーディアンUSのジョン・マルホランド編集者は「立場の弱い数百万人もの人々が、水へのアクセスという基本的な権利を受けられない理由を明らかにしたい」と語っている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. クロロックス社違反事例
    オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は4月14日、ゴミ袋製品の一部に「海洋プラスチック50%c
  2. 国土交通省
    国土交通省とナスバ(自動車事故対策機構)は3月25日、2024年度チャイルドシートアセスメントによるc
  3. NCL
    非営利団体のグリーン・アメリカや児童労働連盟(Child Labor Coalition)などは4月c
  4. 経済産業省
    経済産業省は、2024年のキャッシュレス決済比率が42.8%になり、「2025年までに4割程度」とすc
  5. 東京都庁
    東京都は3月25日、2024年度健康食品試買調査結果をまとめ、124製品のうち98製品(79%)に不c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る