新型コロナがネットへのシフトをさらに加速 UNCTAD調査

新型コロナウイルス感染症の影響により消費者の購買行動のデジタル化が加速していることが10月8日、国連貿易開発会議(UNCTAD)の消費者調査でわかった。ファッション、化粧品、食品、デジタルエンターテイメント、メディアなど多くの分野でオンライン利用者が増加し、この世界的な流れは今後も続くと予測。コロナ後を見据えたeコマース事業者にとって、日用品や医薬品など店舗利用が多い分野には大きなビジネスチャンスが訪れると分析した。

調査はブラジル、中国、ドイツ、イタリア、韓国、ロシア、南アフリカ、スイス、トルコの9カ国、約3700人の消費者を対象に実施した。

調査の結果、パンデミック以降、半数以上が2か月に1回以上オンライン通販を利用し、特に「化粧品・パーソナルケア」「デジタルエンターテイメント」「農作物・飲料」「ファッション・アクセサリー」「医薬品・ヘルス」「メディア・書籍」(デジタル・紙の両方)の各分野で利用者の割合が50%を超えていた。ただ、支出額は旅行セクターをはじめ軒並み減少し、化粧品、食品、医薬品など必需品に絞って購入している傾向がみられた。

2019年との比較で利用者が伸長した分野は、「ICT関連機器」が10ポイント増、「医薬品・ヘルス」と「園芸・日曜大工製品」がそれぞれ9ポイント増、「教育・オンライン学習」8ポイント増、「家具・家庭用品」7ポイント増、などの順だった。

国別では、中国とトルコで増加が顕著となり、すでにオンライン通販が普及しているスイスとドイツは弱含みとなった。利用者の属性では、女性と高学歴層が他の層よりも活発に利用する姿が浮かび上がった。

さらに、調査では「デジタルの巨人がより強くなる」と指摘。コロナ拡大後に最も使われた通信プラットフォームは、WhatsApp、Instagram、Facebook Messengerだとし、「すべてFacebookが所有しているものだ」と強調。テレワーク需要拡大により、ZoomとMicrosoftも恩恵を受けたと報告した。

UNCTADは今後もネットへのシフトが続くと予測。「コロナ後の世界は、eコマースの類を見ない成長が国際的な小売り業の枠組みを混乱させるだろう」と指摘し、各国に対し、中小企業のデジタル化促進や人材育成などの対策を急ぐよう呼びかけた。

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