肥満者ほど食品宣伝に反応 減量した人には効果薄 UBC調査

カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)の研究者らが4月1日、最新の調査結果を公表し、肥満の人は食品マーケティングに対してより敏感に反応する傾向があることがわかったと報告した。一方で、減量する過程で販売促進キャンペーンへの反応が鈍くなることが確認できたという。研究者らは食品マーケティング(特に高カロリーで栄養価の低い食品)と肥満の増加に関連性があるとにらんでおり、同大学のヤン・コーニル博士は「明確な根拠になるとまでは言えないが、重要な研究結果だ」と強調。肥満対策として食品マーケティング規制を検討する上での有力な洞察になるとしている。

研究報告やメディア報道などによると、肥満患者の女性(肥満手術前、手術後3カ月、12カ月を継続調査)、痩せている女性、肥満だが治療を求めていない女性の3グループを対象に調査。食品の広告やラベル表示などが及ぼす影響についていくつかの実験を行った。

その結果、手術前の肥満患者などは販売促進キャンペーンに乗ってしまいやすい傾向があったが、手術後、減量していく過程で反応が鈍くなっていき、12カ月後には痩せた人と同じ水準にまで反応が低下することがわかった。この理由については様々な推測ができるとし、大幅な減量により消費者のライフスタイルや嗜好が変わった可能性があること、体重減少による生理学的変化(ホルモン、神経、腸内細菌バランスなど)などをあげた。また、肥満手術をきっかけに好みが変化する傾向があったことも見逃せないとした。

食品マーケティングが肥満の増加の一因になっているとの指摘は以前からあるが、関連性についての明確な根拠は確立されていないという。コーニル博士は「今回の調査結果は重要で、食品マーケティング規制の担当者にとって重要な洞察を提供することになる」と強調。「消費者がより健康的な選択ができるよう食品マーケティングが変化することに期待したい」と呼びかけた。

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