鶏レバーや砂肝 中までしっかり加熱を 都が内部汚染を調査

鶏内臓によるカンピロバクター食中毒が発生していることなどから、東京都健康安全研究センターが鶏レバー、砂肝、ハツの内部細菌汚染を調べる加熱実験を行った。その結果、焦げ目がつく程度に表面全体を加熱した後も菌が検出され、内部まで汚染されている可能性が高いことがわかった。同センターは「表面のみの加熱では殺菌されないため、鶏内臓は鶏肉と同様、中心部まで十分加熱することが重要だ」と指摘している。

これまで鶏肉の食中毒汚染状況の調査は広く行われてきたが、鶏内臓を対象とした調査報告は少ないという。東京都は今後、消費者や事業者に周知していく方針だ。

同センターは昨年11月までに、都内の卸売市場やスーパーで購入した国産鶏のレバー(肝臓)42検体、砂肝(砂のう)41検体、ハツ(心臓)13検体の計96検体の汚染実態調査を実施。その結果、41検体からカンピロバクターが、67検体からサルモネラが、51検体からウエルシュ菌が検出された。また、リステリア・モノサイトゲネスは6検体、黄色ブドウ球菌は4検体から検出され、鶏内臓は部位を問わず、鶏肉とほぼ同レベルで細菌汚染されていることが確認された。

さらに、レバー4検体、砂肝3検体、ハツ3検体の計10検体を対象に加熱前・加熱後の細菌検出状況を調査。1検体当たり約300グラムを合わせ焼き網で挟み、家庭用コンロの直火を用いて一部に焦げ目がつく程度に表面のみを加熱した。その結果、カンピロバクターは加熱前の5検体から検出され、そのうち4検体は加熱後も検出された。サルモネラは加熱前の6検体から検出され、そのうち4検体は加熱後も検出された。レバーについては葉が重なって直火が当たらない部分があり、表面全体を加熱殺菌できなかったため内部汚染にまで言及できなかったが、砂肝とハツについては内部まで汚染されている可能性があった。

カンピロバクター食中毒は昨年、全国で182件発生し、病因物質別でアニサキスに次いで第2位となっている。また、食品安全委員会の報告によると、約9割の事例が生や加熱不十分の鶏肉・鶏内臓によるものだったという。

調査結果は7月20日開催の東京都食品安全情報評価委員会で報告され、審議の結果、消費者・事業者への注意喚起と情報提供が必要と判断された。都は今後、ホームページなどで加熱の重要性などを周知していくとしている。

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