今後10年で1300万人が交通事故死 WHO試算 半減めざす

交通事故により世界で毎日3500人以上が死亡しているとして、世界保健機関(WHO)は10月28日、2030年までの行動計画を開始し、今後10年間に死者数を半減させるという目標値を発表した。安全な道路の整備や車両の事故防止機能の向上、道路の安全利用の周知、健康的で環境に優しい交通手段などを呼びかけていく。

WHOの試算によると、世界の交通事故死者数は1日3500人以上となり、年間では死者約130万人、負傷者約5000万人にのぼり、主に子どもや若者が被害に遭っているという。このままでは今後10年間で、途上国を中心に死者1300万人、負傷者5億人に達する見通しで、WHOは「交通事故は予防可能であり、この数値はとても許容できない」と指摘。テドロス事務局長は「交通事故が引き起こす人命・生活手段の喪失、悲しみと痛み、経済的損失は家族やコミュニティ、社会、保健システムに耐えがたい犠牲をもたらす」とコメントした。

また、WHOで傷害防止を担当するエティエンヌ・クリュッグ氏は「自動車が発明されて以来、5000万人以上が交通事故で亡くなった。これは第一次世界大戦や最悪のパンデミックの死者数を上回っている。世界はいま、安全で健康的で持続可能な輸送手段に移行する時が来た」と各国に行動を呼びかけた。

WHOの計画には▽道路インフラや車両の安全性向上▽命を救う救急医療システムの構築▽ウォーキング・サイクリング・公共交通機関の利用促進――などが盛り込まれている。

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