米製品安全当局、50年の軌跡 冷蔵庫閉じ込め事故ほぼゼロに

創設50周年を迎える米消費者製品安全委員会(CPSC)は3月15日、これまでの製品安全対策の歴史をまとめた動画や特設ページを公開した。SNSにも「#CPSC50」を設定し、特設ページへのへアクセスを呼びかけている。

CPSCはニクソン政権時の1972年10月27日に誕生した独立規制機関。消費者製品による死亡・重傷事故を減らすため、5人で構成する委員会が与えられた権限に基づき、安全基準の策定、リコールの促進、危険な製品の禁止措置に取り組んできた。

特設ページでは、これまでの製品事故と安全対策の軌跡を紹介。1973年~84年にかけて96人の子どもが窒息死した冷蔵庫閉じ込め事故については、冷蔵庫安全法に基づいて規制を強化し続け、最新の改正は2007年。直近25年間の死亡事故は2件となり、「冷蔵庫の閉じ込めによる事故はほぼゼロになった」と振り返った。

また、1982年~90年に46人の子どもが亡くなったガレージドア巻き込み事故は91年の安全基準の導入により、この10年間で死亡2件と大幅に減少。2011年に安全基準を強化したベビーベッドでは、死亡者が1973年から2018年までに80%近く減ったという。このほかベビーウォーカーでの重傷事故、子どもの中毒事故、自転車の重症事故などへの安全対策事例を紹介している。

CPSCは「消費者に対する安全性は高まってきたが、次の50年間はさらに多くの課題に取り組む必要がある」と強調。幼児にとって最大の脅威であるプール・スパの溺死事故、毎年80人近くが死亡しているポータブル発電機による一酸化炭素中毒事故、乳幼児用製品における睡眠中の窒息事故などをあげた。

CPSCはメリーランド州ベセスダに本部があり、同州ロックビルに試験・評価施設を所有。貿易港をはじめ全国に職員やスタッフを配置し、厨房用品からおもちゃ、運動器具など数千種類もの消費者製品の安全性を監視している。

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