「通販関係が最多」週末電話相談報告書 NACS、法整備訴え

消費生活関連の専門家団体「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会」(NACS)は6月、毎週末に実施している消費トラブルを巡る無料電話相談「ウィークエンド・テレホン」の報告書の2024年度版をまとめた。1177件の相談が寄せられ、このうち通信販売関連が373件と最も多く、全体の31.7%を占めた。NACSは「業者の手口は巧妙さを増し、消費者個人の対応では限界がある」と法整備の拡充を訴えている。

通販関連の中ではインターネット通販にかかわる内容が256件で通販全体の70%近くに達した。具体的な内容は「オンラインクリニックで処方されたかぜ薬をカード決済した際、誤って3回決裁した。キャンセルを伝えようとしたが、反応がない」(30代女性)、「ネット通販で電子たばこを注文したが、頼んだ覚えのない2回目の商品が届き、2万4800円請求されている」(40代男性)、「ネット通販で手品用品を注文したが、業者に誘導されるまま230万円を振り込んでしまった」(50代男性)など。

NACSは「業者の手口は消費者の誤認を引き起こし、消費者の気づかないうちに不利な契約に誘導するなど巧妙化し、消費者個人の対応力を上回っている」と分析。「現行の契約取り消し制度は十分に機能せず、各法律の枠にとどまらないインターネット取引全体を包括的にカバーできるよう規制の見直しが求められる」と法整備の必要性を指摘している。

報告書では通販関連のほかにも「儲け話・副業」「訪問販売」「電話勧誘販売」「賃貸契約」などの分類別に特徴的な相談内容を載せ、注意を促している。2024年10月に行なった電話相談「住まいの契約トラブルなんでも110番」の実施結果も公表し、計48件の相談があったことを明らかにした。

ウィークエンド・テレホンはNACSが各地の消費生活センターが窓口を開いていない土、日曜日に東京、大阪を拠点に毎週実施している。報告書は毎年度発行され、2024年度版はNACSのホームページにPDF版が載っている。問い合わせ先はNACS(電話03‐6434‐1125)まで。

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