【豪州】スーパー大手2社、値下げ装う価格操作か 当局が提訴

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は9月23日、スーパー大手のウールワースとコールズの豪州法人を相手取り、消費者法違反の疑いで連邦裁判所にそれぞれ提訴したと発表した。

ACCCによると、2社は500点以上の商品(ウールワース266点、コールズ245点)について、15%以上価格を引き上げたうえで短期間販売し、その後、価格を引き下げて「値下げ」キャンペーンを展開していた。値下げ価格は値上げ前の通常価格よりも割高もしくは同じ価格となっていて、ACCCは「割引が実際は架空のものであったにもかかわらず、消費者に誤解を招く表示している」と指摘している。

価格操作疑惑の一例として、ACCCはウールワースが販売したオレオ・ファミリーパックの事例を示した。

同社は2021年1月1日~22年11月27日までの696日間、通常価格3.5ドルでオレオを販売。翌11月28日からの22日間にかけて5.0ドルで販売した後、値下げキャンペーンの対象商品として4.5ドルで販売し、「通常価格5.0ドルを4.5ドルに値下げ」などと割引を強調していた。値下げ価格は以前の通常価格の29%も割高で、ACCCは「値引きキャンペーンを行うことを前提に一時的な価格の引き上げを実施した」などと計画性についても言及した。

ACCCは消費者からの通報やソーシャルメディアの投稿を通じて2社の行為を特定し、強制権限を行使して徹底的な調査を実施したとしている。ジーナ・キャス・ゴットリーブ委員長は「架空の割引に関するこうした誤解を招く表示が、消費者がどの商品をいくらで買うかについて十分な情報に基づいて選択する能力を低下させた」と主張。2社が数千万個を販売して多額の収益を得たとして、「高額の罰金を求めたい」とコメントした。

発表を受け、豪州の消費者団体CHOICEは「消費者の多くは2社が近年、価格設定でごまかしを働いていることをよく知っていた」と指摘。「大手スーパーの販促ラベルは買い物客を混乱させることが多く、価格が頻繁に変更されるため、本当に割引されているのかどうか判断するのが難しくなっている」とし、スーパーの価格設定に関する履歴データを確認できる仕組みづくりが必要と訴えた。

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