【豪州】依然続くボタン電池の誤飲事故 安全規制に抜け穴

子どものボタン電池の誤飲事故が相次いでいるのは安全対策に抜け穴があるためだとして、豪州の消費者団体CHOICE(チョイス)が規制強化を求めている。

同国では9月初旬、2歳の女児がボタン電池で重傷を負う事故が発生。母親が妊娠中に使っていたグルコース計のボタン電池を女児が飲み込んでしまい、食道に重いやけどを負って現在も治療中だという。誤飲事故は全国で相次いでいて、政府機関の推計によると、過去には2人が死亡、現在も週平均20人の子どもが救急搬送されている。

ボタン電池の安全対策としては、ACCC(オーストラリア競争・消費者委員会)が2016年7月、ボタン電池を使用する製品に向けた指針を発表。警告ラベルの表示、電池カバーのロック化、販売時の情報提供などの安全対策が盛り込まれたが、残念ながら強制力がなく、指針を順守する企業は少ないという。また、36カ月未満の乳幼児用おもちゃには厳しい法規制が行われているが、それ以外のおもちゃや家庭用製品は対象外。年上の兄弟が使っているおもちゃで事故に遭うケースも多く、わざわざ「これはおもちゃではない」というラベルを貼って規制逃れをする製品も登場している。

小児救急医で、子どもの事故監視団体にも携わるルース・バーカー医師は「製品の設計を工夫さえすれば未然に防げる事故があまりにも多すぎる」とし、流通する製品の安全性を法律が保障する制度が必要だと主張。チョイス幹部のサラ・アガール氏も「オーストラリア消費者法は特定の消費者を強力に保護するが、販売される製品について安全性を求めるという要件がなく、抜け穴となっている。ボタン電池事故はそれを最もよく示す事例だ」と指摘している。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 千葉県が毎年実施しているアンケート調査によると、自転車保険に「加入している」との回答が68.7%と前c
  2. network
    国際消費者機構(CI)が提唱する世界的な記念日「世界消費者権利デー」(World Consumer c
  3. 冷凍食品協会意見交換会
    日本冷凍食品協会は2月6日、主婦会館プラザエフで消費者7団体との意見交換会を開いた。冷凍食品の消費量c
  4. NCL
    米国テキサス州を中心に麻疹が流行している問題で、米国の消費者団体ナショナル・コンシューマー・リーグ(c
  5. U.S. PIRG
    カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は3月8日までに、2022年に成立したプラスチック汚染削減c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る