日本生協連、宅配事業を再強化へ 他社との協業も視野

日本生活協同組合連合会は宅配事業の再強化に乗り出す。人生100年時代を支える生活インフラとして、地方にまで張り巡らせた配送網をどう維持していくかを検討。IoTを活用して省人化を進めるほか、50歳代後半から60歳代が中心だった宅配利用者層を拡大させ、30歳代前後の若者世帯の取り込みを狙う。嶋田裕之代表理事専務は「宅配の事業構造は厳しさを増している。物流コストと環境問題を考えながらどうメスを入れていくかを考え、合理化を進める」と語った。他業種との協業も視野に入れて検討を進める。

日本生協連

新年記者会見で挨拶する本田英一会長(中央)と嶋田裕之代表理事専務(左)、藤井喜継専務理事(右)(24日、コーププラザにて)

1月24日の記者会見で明らかにした。宅配事業の再強化を重点課題と位置づけ、21日には若手3名からなる次世代戦略企画室を新設した。物流・システム部門と会員生協で作る宅配イノベーション検討タスクチームを立ち上げ、今夏をめどに改革案をまとめる。

嶋田専務は「30歳前後の利用を十分拾い切れていない。若い世代にも利用しやすいよう宅配事業をリブランディング(再定義)することがテーマの一つだ」と強調。AIスピーカーによる受注システムの導入やバーコード型、クレジットなど多様な決済手段への対応などを事例としてあげた。

また、人手不足とコスト上昇問題を抱える物流分野について「全体をどう合理化し、省人化していくかが切り口だ」とし、他業種や他社との協業を含めて事業改革を進めていくとした。

高齢化や買い物困難地域の増加が深刻化する中、生協の宅配事業は重要な生活インフラの機能を果たす。このインフラを活用した「地域見守り活動」は47都道府県の1147市区町村で展開されており、日本生協連は「多様な世帯に対応する事業モデルを再設計し、くらしと地域を支える宅配を目指す」としている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. こどもの事故
    ゴールデンウィークを控え、宿泊先や親戚の家に置かれた製品で子どもが思わぬけがをする可能性があるとしてc
  2. 電話相談
    大阪弁護士会の消費者保護委員会は4月26日・27日の両日、紅麹サプリ健康被害110番を実施する。小林c
  3. 豪州消費者団体Choice
    住宅ローンや家賃に関する苦情が増加しているのは銀行が苦境に立たされている人を十分支援していないからだc
  4. 鶏肉
    日本政策金融公庫が実施した畜産物の購入に関する消費者動向調査によると、食肉と牛乳について、およそ6割c
  5. コンシューマーリポート
    4月22日のアースデイを前に、米国の消費者団体コンシューマー・リポートは気候変動が消費者の財布に与えc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る