【豪州】政府機関装った? グーグル広告に罰金100万ドル

オーストラリア連邦裁判所は11月29日、雇用関係に関する助言サービス事業者「エンプロイシュア(Employsure)」が出したグーグル広告について、消費者法に違反したとして罰金100万ドルの支払いを命じた。訴訟を起こしたオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は500万ドルの罰金を求めていたが、同社の「意図的ではない」などとする主張が一部認められ、減額されたという。

ACCCによると、同社は2018年8月までの約2年間、雇用に関する独立監視機関「Fair Work ombudsman」という検索キーワードに連動するグーグル広告を出稿。見出しに「Fair Work Ombudsman Help-Free 24/7EmployerAdvice」などと記載して集客していた。

Employsure社が出していたグーグル広告。政府系の独立機関「Fair Work ombudsman」を検索すると表示されていた(ACCC発表資料より)

ACCCはこうした広告は、政府機関と提携した事業者だと誤解させると指摘。中小企業を含め100件を超える苦情が寄せられたこともあり2018年12月、消費者法違反に当たるとして提訴していた。

しかし、連邦裁判所は昨年10月、誤解を招くものではないと判断し、ACCCの訴えを却下。広告を示す「Ad」が表示されていること、URLには政府機関を示す「.gov」ではなく「.com」が使われていること、「fairwork」という言葉は政府機関だけでなく幅広く使われていることなどの理由を示していた。

ACCCは今年8月、連邦最高裁判所からの支持を受けて控訴し、今回の判決では罰金支払いの判決を勝ち取った。しかし、500万ドルの罰金を求めたのに対し100万ドルと大幅に減額された。意図的ではなかったこと、契約までの過程で消費者が民間サービスだと認識できること、などが主な理由だという。

ACCCのロッド・シムズ委員長は「消費者は政府関連機関もしくは提携サービスだと信じて高額な契約を結んだ可能性があるが、罰金についての我々の主張は受け入れられなかった」とコメント。判決を精査し、今後の対応を慎重に検討するとしている。

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