調味料・植物油にリサイクルペット容器使用可能 4社が共同試験

◎資源循環に弾み 研究成果を論文発表

調味料・食用油用容器にリサイクルペットボトルを採用する動きが拡大しそうだ。Mizkan(ミツカン)、キッコーマン、キユーピー、日清オイリオグループの食品4社は5月10日、合同で実施した安全性評価により、メカニカルリサイクルペットボトルがほぼすべての液状調味料・食用油容器として安全に使用できることを確認したと発表した。業界における資源循環の取り組みを加速させる方針だ。

4社は地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所の尾崎麻子主幹研究員の協力を得て、評価研究を実施。国の指針(厚生労働省「食品用器具及び容器包装における再生プラスチック材料の使用に関する指針」)に沿って、メカニカルリサイクルペットボトルの安全性を評価した。その結果、液状調味料及び食用油に模した疑似溶媒を充填して賞味期間まで保存した後でも、容器からの化学物質の溶出量は指針値(推奨溶出限度値10ppb)を下回ることを確認した。

この研究成果は、今年4月27日発行の「日本食品化学学会誌」(29巻1号)に論文として公表。4社は「調味料・食用油業界全体での資源の循環促進の加速に寄与する」とアピールしている。

メカニカルリサイクルとは「物理的再生法」のことで、材質別に分別したボトルから異物を除去した後、フレーク状に粉砕し、温水、アルカリ水、洗浄剤などを用いて洗浄後、減圧下で高温処理し、汚れの除去と物性の回復を行う方法。リサイクルにかかるエネルギーが少なく、設備投資や運転コストの点でメリットがあるとされている。

メカニカルリサイクルペットボトルは飲料業界において使用が拡大しているが、液状調味料・食用油業界では中身の性質や製造工程、賞味期限などの条件が飲料と異なるため、広く普及していない状況となっていた。4社はこれまで、各社ごとに醤油、食酢・調味酢、味付けぽん酢、ドレッシング類、食用油の品質や成分について長年に渡り知見を積み重ねてきたが、プラ容器の資源循環という社会的課題に対応するために連携した。今回の成果をもとに、業界におけるリサイクルペットボトルの使用を前進させる意向だ。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. フランス消費者同盟
    動画投稿アプリ「TikTok」の複数のインフルエンサーが日焼け止めの危険性をあおり、使わないよう推奨c
  2. NCL
    米大リーグ、ワシントン・ナショナルズが観戦チケットを販売する際、手数料を開示していなかったなどとしてc
  3. 食品安全委員会
    食品安全委員会は7月23日、アレルゲンを含む食品のファクトシート(科学的知見に基づく概要書)を公表しc
  4. 東京都庁
    東京都は7月18日、2023年度インターネット広告監視事業の結果を公表した。1万6000件の広告につc
  5. コンシューマーリポート
    米消費者団体コンシューマー・リポートは7月12日、果物や野菜を洗う最も良い方法を示し、重曹や酢を用いc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る