ロードサービスの高額請求トラブル 都救済委に紛争解決を付託

インターネットで検索して依頼したロードサービスの契約を巡り、消費者と事業者との間で紛争となったことから、東京都の小池百合子知事は1月5日、知事の付属機関である「東京都消費者被害救済委員会」(会長・村千鶴子弁護士)に解決を付託した。救済委は今後、両者から話を聴き、解決に向けたあっせん案を提示する。

申立人(20歳代消費者)の主張の概要は以下のとおり。

車を車庫から出そうとしたところ後輪がロックして動かなくなった。インターネットでロードサービスを検索し、「約3000円~」と広告していた事業者に電話したところ、担当者が現場に到着。「整備工場に出す必要がある。15万円ほどかかる」「このまま路上に車を出していると警察に車両を移動させられる可能性があるので、すぐに対応しないといけない」とせかされ、契約書への記入を促された。作業や金額の説明はなく、修理代だと思いデビットカードで15万円を支払った。しばらくしてレッカー車を整備工場に運んで行ったが、整備士からは「サイドブレーキが上がっていただけではないか」と言われ、修理することはなかった。レッカー移動だけで15万円支払ったとわかり、翌日に消費生活センターに相談し、クーリング・オフ通知を出したが、応じてもらえない。

この事例の問題点として▽消費者が想定していた金額と実際の請求額にかい離があり、それについて事前に説明がなかったとすれば、特定商取引法に規定する訪問販売におけるクーリング・オフが可能となるのではないか▽消費者が冷静に判断することが難しい状況では、事業者は契約を急がせたりせず、役務内容や料金について分かりやすく丁寧に説明すべきではないか――などがあげられており、救済委で公正な解決策を審議していく。

近年、ネット検索を通じて依頼したロードサービスに関する消費生活相談が増えており、多くが「広告に表示された安価な代金を見て事業者に依頼したところ、実際には事前に説明のなかった高額な費用を請求された」というもの。都内相談件数は2019年度が2件だったのに対し、22年度は84件に増加。23年度は11月末現在ですでに73件にのぼる。都は付託案件の解決とともに同種トラブルの被害防止と救済につなげる考えだ。

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