【米国】教育と注意喚起では詐欺被害減らない NCLが議会証言

詐欺被害の防止に取り組む米国の消費者団体、ナショナル・コンシューマーズ・リーグ(NCL)のジョン・ブレイオー氏が2月1日、連邦議会上院の銀行・住宅・都市問題委員会で証言し、詐欺に対する消費者保護の強化を訴えた。ブレイオー氏は「米国は詐欺との戦いに勝ててはいない」と語り、詐欺に悪用されている決済アプリや暗号資産(仮想通貨)への法規制を求めた。

ブレイオー氏が詐欺対策について議会で証言するのは今回が4回目。2021年に同委員会で証言した際には、支払いツールに悪用されている個人間送金決済アプリ(Zelle、Venmo、Cash App、PayPalなど)に警告を発して、議会に対策を求めていた。ブレイオー氏は「残念ながら前回の警告後、問題は悪化するばかりだ。消費者教育をいくら行っても、注意喚起を工夫しても、支払い手続きに若干の壁を設けても、それだけではこの問題は解決しない」と指摘した。

米連邦取引委員会(FTC)の統計によると、2022年の詐欺相談件数は540万件で、1件当たりの被害額の中央値は2020年から2倍近くに増えていた。ブレイオー氏は「規制の網がかかっていない新たなテクノロジーの出現が被害を助長している」とし、わずか2年で被害額が10倍に急増している暗号資産については、迅速な規制が必要と訴えた。

ブレイオー氏は「残念ながら時代錯誤の詐欺対策が行われている。消費者保護にコストをかけないプラットフォーマーが利益を得て、被害者だけがそのコストを負担している状況だ」とし、決済アプリ事業者や暗号資産取引事業者に対し、クレジットカードと同等の消費者保護制度を導入すべきだと主張した。

証言の中で、ブレイオー氏は「詐欺の被害を過小評価してはならない。たった1件の詐欺が被害者の人生を変え、深いトラウマをもたらし、命を奪うことすらある」とも指摘している。

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