消費科学センターが食肉に関する意識調査 生産現場の苦境受け

生産コストの高騰により畜産・酪農家の経営が苦境に立たされていることを受け、消費者団体「消費科学センター」(東京都渋谷区)が食肉に関する消費者意識調査を実施した。その結果、飼料まで含めた国産肉の自給率が8%であることを知っていた人が約3割にとどまったほか、国産肉の値上がりについて、10%程度の値上がりには寛容な姿勢を示す人が多いことがわかった。

調査は昨年9月に行い、71人が回答した。調査結果によると、肉料理の頻度は「2日に1回くらい」が59%、「ほとんど毎日」が27%。購入時に重視する点は「国産であること」が62%、「価格」が61%と上位を占めた。

「国産肉の自給率は53%だが、飼料の75%を輸入にたよっているため、飼料まで含めた自給率は8%まで下がることを知っているか」の問いには、「知っている」が31%、「知らなかった」が69%だった。また、国産肉の値上がりの許容範囲について「10%」が52%と最も多く、「20%」が25%と続き、「許容できない」は1.4%と少数だった。

こうした結果について、消費科学センターは「飼料まで含めた自給率について約7割の人が知らなかったと答えています。産地にはこだわるけれど、飼料に対する意識は低いようです。また、国産の肉を食べても自給率が上がらないとも言えます。コストの大部分を占める飼料の国産化が求められます」とコメント。

また、国産肉の値上がりについては「消費者はある程度の値上がりに寛容な姿勢を示していますが、それにも限度があります。コストの上昇分を全て価格に転嫁させてしまうと、消費者は買えなくなり、買い控えが起こるのではないでしょうか」とコメントした。

同センターは飼料の国産化や買い控えへの抜本的な対策(国の財政支援や周知啓発など)を求めるとともに「畜産業の問題は私たちの問題であり、消費者は食料が安定的に供給されることを一番望んでいます。食育や生産者との交流などを通じて、お互いに理解する機会を増やすことが大事だと考えます」と呼びかけている。

(本紙「ニッポン消費者新聞」2月1日号より加筆の上、掲載)

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 国民生活センター
    ◎医療機関からの事故情報、5年で923件 国民生活センターが発生状況を分析 医療機関から寄せられるc
  2. 全国消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月14日、地域の高齢者・障がい者見守り活動を支援する「全国消費者見守りネットワーク連絡c
  3. 総務省
    電気通信サービスの市場環境の変化に伴い、新たな消費者トラブルの発生が予想されることを踏まえ、総務省はc
  4. 主婦連合会
    第64回全国消費者大会が11月29日に開催される。今回の統一テーマは「平和な社会とくらしを守るためにc
  5. アメリカ消費者連合
    米国の消費者団体CFA(アメリカ消費者連盟)は10月22日、自動車保険および住宅保険の大手企業幹部がc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る