成年年齢引き下げ「拙速に行うべきではない」 日弁連声明

成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正法案が閣議決定され、国会に提出されたことを受け、日本弁護士連合会(中本和洋会長)は3月15日、「法改正を拙速に行うべきではない」とする会長声明を出した。若者の消費者被害などへの対策が不十分だとしている。

日弁連は声明の中で、「法律における年齢区分はそれぞれの法律の立法目的や保護法益ごとに個別具体的に検討されるべき」だとして、そもそも成年年齢を選挙年齢と一致させる必要はないと指摘。未成年者取消権による消費者被害の拡大、親権の対象となる年齢の引き下げによる自立困難な若年者の困窮の増大、高校教育での生徒指導の困難化など多くの問題が山積する中、その対策が不十分だと訴えた。

また、被害防止対策として今通常国会に提出されている消費者契約法改正案について触れ、「消費者が抱いている不安や勧誘者に対して恋愛感情等を抱いていることにつけ込んだ勧誘を理由とする取消権の導入が提案されているが、未成年者取消権の喪失に対応する施策としては全く不十分」と指摘。消費者委員会が昨年1月に示した「事業者が、若年成人の知識・経験等の不足その他の合理的な判断をすることができない事情につけ込んで締結した不当な契約を取り消すことができる規定」すら盛り込まれていないと訴えた。

法案が成立すれば、2022年4月1日に施行される。政府は4月にも関係省庁で構成する検討会を立ち上げ、消費者被害や自立支援に関する具体的な対策を議論するとしている。

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