全身脱毛エステ契約めぐる紛争 東京都被害救済委があっせん解決

東京都消費者被害救済委員会(会長・宮下修一中央大学大学院法務研究科教授)は9月30日、「個別クレジットを利用した全身脱毛エステティック契約をめぐる紛争」があっせん解決したことを小池百合子知事に報告した。「一生無制限」などと説明され契約したものの1年後にサロンが閉店。サービスが受けられないのにクレジットの請求が止まらずトラブルとなっていた。女性21人(平均年齢19.1歳)が申し立てていた。

女性らはHIFUの無料体験後、脱毛の無料体験を勧められ、再度エステ店に出向いたところ、「一生無制限」「通い放題」などと言われ、全身脱毛の契約を勧められた。高額だったため一旦家に帰って検討したかったが、「この価格は今日だけ」と説明されて契約。しかし1年後にサロンは閉店し、さらに契約書を見ると、説明とは異なり期間1年間、回数6回の契約となっていた。クレジットの請求も止まらなかったという。

エステ事業者が事実上の倒産状態にあることから、被害救済委は申立人とクレジット会社との間であっせん手続きを開始。この事案が特定商取引法で規定する特定継続的役務提供契約に当たるとし、エステ会社による勧誘時の不実告知があったと認定した。法定書面の記載不備については主張が対立するなどしたが、申立人が若年層であり、解決しなければ高額な債務を負担し続けることなどを勘案し、▽申立人は既払い金の返還をクレジット会社に請求しない▽クレジット会社は申立人に残額を請求しない――という内容で合意が成立した。

都に寄せられた脱毛エステに関する相談は今年4月から7月までに379件と、前年同期の2倍を超えている。個別クレジットの分割払いを勧められて契約するケースが多く、平均契約金額も38.6万円と高額化している。成年年齢引き下げ後は18・19歳の割合も増えており、都は「無料体験にひかれて出向くと高額な契約を勧められる場合がある。その場で決めずに慎重に判断してほしい」と注意を呼びかけている。

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