【米国】自動車広告の4割が「性能」強調 「安全」訴求は8%

保険業界でつくる非営利団体、米国道路安全保険研究所(IIHS)は5月12日、テレビやインターネットで放映・配信された自動車広告に関する調査結果を発表し、2018年から2022年にかけてスピードや走行性能を強調した広告が増加していると警告した。

IIHSのデビッド・ハーキー会長は、雨の中で急カーブを猛スピードで走り抜ける広告映像を例に挙げ、「こうした広告はスピードへの文化的執着を助長する。画面上の細かい注意書きには、プロのドライバーが閉鎖されたコースで運転していることが記されているかもしれないが、視聴者には『自分も同じように運転できる』というメッセージとして伝わるだろう」と指摘している。

2018年、2020年、2022年に放映された1500本以上のテレビ広告と、2020年と2022年に配信された1000本以上のインターネットおよびソーシャルメディア広告を分析したところ、43%がスピード、操縦性、加速力、制動力、パワーなどの走行性能を強調していた。これに対し、安全性をアピールした広告はわずか8%にとどまった。

また、性能を重視する傾向が強まっていることもわかった。2018年から2022年にかけて、スピードに焦点を当てた広告の割合は14%から19%に、トラクション(路面把握力)を強調した広告の割合は20%から38%に増加した。一方、安全性を強調した広告は11%から3%に減少した。

IIHSによると、英国では危険運転を助長する広告を禁止する基準があるが、米国では規制当局ではなく放送事業者が基準を設けているにすぎず、内容自体も曖昧で容易に回避できる状況にあるという。

米国では2024年、速度超過に起因する交通事故で1万1288人が死亡しており、これは交通事故死者全体の29%を占める。IIHS研究者のアンバー・ウッズ氏は「こうした広告が速度超過を当たり前のことと捉えさせ、その危険性を見えにくくすることにつながっている」と指摘している。

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