【米国】自動車衝突試験は男性目線 高い女性の死傷リスク

自動車の衝突事故による女性の死傷リスクが男性よりも高いなどとして、米消費者情報誌コンシューマー・リポートは11月8日、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が実施する新車アセスメントプログラム(NCAP)の試験方法を、女性目線に改善するよう求めた。衝突試験で使用するダミー人形のほとんどが男性を模したものであり、「男性と女性の体格の差異を考慮しておらず、車に搭載された安全システムが女性を保護していない」と指摘している。

同誌は「女性の死傷率が男性よりも高いことは、研究者の間では数十年も前から既知の事実だった」と強調。ほとんどの衝突試験で1970年代の平均的な男性の体格を模したダミー人形を使ってきたことが要因だと指摘した。同誌の政策アナリスト、イーサン・ダグラス氏は「試験内容のバイアス(偏り)を当局は以前から認識していたが、女性を保護するための対策を放置してきた」と訴えた。

この問題について、米下院のキャシー・キャスター議員がこのほど、試験内容の改善と女性の自動車事故リスク調査の実施をNHTSAに要請。書簡の中で「自動車事故に巻き込まれた女性は死亡や重傷を負う危険性が男性と比べて73%も高い」との調査データを示した。

キャスター議員によると、NHTSNが要請を受け入れて規制作りに着手しても、女性用衝突試験ダミーが実際に導入されるのは2030年になるという。同議員は早急な対応を求めている。

今年40周年を迎えた米国の新車アセスメントプログラム――。コンシューマー・リポートやアメリカ消費者連盟(CFA)などの消費者団体は安全な車の普及について一定の評価を与える一方で、「試験内容が時代遅れだ」として改善の必要性を訴えている。

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