【豪州】コロナ禍でオンライン賭博成長 依存症の指摘も

豪州の消費者団体CHOICEは8月31日、コロナ禍でオンライン賭博運営事業者がSNS上で広告を積極展開し、売り上げのを伸ばしていると報告した。外出自粛中に新たにオンライン賭博を始める人も多く、ギャンブル依存や家庭崩壊、生活破綻などを懸念する声があがっている。依存症支援団体は「コロナ禍で助け合いやケアが求められる中、オンラインカジノ事業者が人々の孤独と退屈を狙って広告費を増やすことは不道徳だ」と指摘している。

ビクトリア州の統計によると、今年6月までの1年間における州民のギャンブル損失額はおよそ14億豪ドル。前年同期よりも3億7500万豪ドル増えていた。また、豪キャンブル研究センターが2000人以上を対象にギャンブル意向調査を実施したところ、コロナ禍でおよそ3人に1人が新たにオンライン賭博口座を開設し、特に若い男性層(18~34歳)が多かったという。

同国で事業免許を持つオンライン賭博事業者は約70社あり、英ブックメーカー大手フラッターが所有するスポーツベット社が最大手。ある分析では、フラッターはオンラインベット市場の46%を支配し、昨年は10%の成長を遂げていた。

ギャンブル依存症の支援団体Anglicareは「正確なデータを取っているわけではないが、ギャンブルをしていなかった人がのめり込み、家族やパートナーとの関係が悪化する事例がみられる。子どもの衣服代や課外活動を犠牲にするケースも寄せられている」と報告。コロナ禍でスポーツベット社はスポーツイベント番組で、競合するベットデラックス社はSNS上で積極的に宣伝を展開しており、「すべての人が犠牲を強いられ、助け合いとケアが求められている時期に広告費を増やすことはまったく不道徳だ」と指摘した。

豪政府はオンライン賭博でのクレジットカード使用禁止を検討中。8月にはオンライン賭博業界の一部が禁止措置への反対意見を取り下げており、近く禁止される見通しだという。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 豪州消費者団体Choice
    住宅ローンや家賃に関する苦情が増加しているのは銀行が苦境に立たされている人を十分支援していないからだc
  2. 鶏肉
    日本政策金融公庫が実施した畜産物の購入に関する消費者動向調査によると、食肉と牛乳について、およそ6割c
  3. コンシューマーリポート
    4月22日のアースデイを前に、米国の消費者団体コンシューマー・リポートは気候変動が消費者の財布に与えc
  4. 警察庁
    警察庁がまとめた生活経済事犯の検挙状況によると、2023年に全国の警察が摘発した特定商取引等事犯は前c
  5. 電話相談
    埼玉弁護士会と埼玉司法書士会は4月20日(土)と21日(日)に電話相談「敷金(賃貸住宅)トラブル11c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る