下着も持続可能な選択を 英消費者団体が小さな行動呼びかけ

衣服の分野にも持続可能な生産・消費やリサイクルが浸透し始める中、やや取り残されている感があるのが下着類――。英国の費者団体Which?は「下着の中古市場がほとんどなく(ありがたいことに!)、通常は新品を購入し、穴が開いたらゴミ箱行きになる。より長持ちする製品や持続可能な生地を選ぶなど日常生活に少しの変更を加えて、地球にやさしい行動を取ってほしい」と呼びかけた。

調査会社によると、英国における下着の2020年市場規模はおよそ34億ポンドで、2025年までに43億ポンドに拡大するという。成長を牽引するのが迅速かつ安価に製造された輸入品だ。

Which?は「化石ベースの繊維、製造時の過剰な水の使用、労働などファストファッションが抱える問題は下着類にも当てはまる。しかし、消費者は下着の分野でも小さな一歩を踏み出せる」とし、いくつかを提案した。

まずは高品質で長持ちする製品を購入すること。安価な10着入りブリーフパックを買うのではなく、快適で高品質な下着に投資してほしいと呼びかけた。

次に、持続可能な生地を選ぶこと。植物ベースならオーガニックコットン、リネン、麻、ラミーなどがおすすめ。リサイクル繊維(ポリエステル、ナイロン、綿、ウール)も良い選択だとした。贅沢品で高価だがシルクは再生可能で生分解性。ただし、通常のシルクは処理工程で化学薬品を使用するので、できれば有機シルクが良いとした。

そして、持続不可能な生地は避けること。化石ベースのアクリル、ナイロン、ポリエステルは製造時に環境を汚染する上、大量の水が必要になる。生分解性も低く、分解するとマイクロプラスチックになる。一般的な綿も栽培方法などに問題があり、世界で使用される農薬の約10%、殺虫剤の約25%が綿栽培向け。綿花1キログラムを生産するのに最大2万リットルの水が必要になるという。綿花の持続可能性プログラム「ベター・コットン・イニシアチブ」(BCI)など持続可能スキームで生産されたものを選ぶと良いとした。

下着は頻繁に洗濯をするため、長持ちさせるには正しく取り扱うことが重要。「ラベルを確認して指示に従ってほしい」と呼びかけた。使用後は廃棄せずにリサイクルに回すことも大事。一部のブランドやショップはリサイクルボックスを設置しており、繊維リサイクルに取り組む団体や自治体も広がっているという。

Which?は「下着は毎日使用し、やがては摩耗する。小さな一歩を踏み出すだけで環境フットプリントに大きな違いをもたらすことができる」と呼びかけた。

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