充電式LEDライト、他製品の充電器を使わないで 発火事故発生

アウトドアや防災グッズとして使われるリチウムイオン電池内蔵の充電式ライトで発火事故が起きていることが、NITE(製品評価技術基盤機構)の調査でわかった。他製品のACアダプターで充電してしまい、過充電により発火する事故も報告されており、NITEは9月1日の防災の日を前に、「いざというときに安全に使用できるよう今から使用上の注意点を確認しておいてほしい」と呼びかけた。

LEDヘッドライト発火

充電器の使い回しで激しく発火するLEDヘッドライト(NITE再現映像より)

発火事故が発生しているのは、LEDライトとリチウムイオン電池を組み合わせた充電式ライトで、「LEDヘッドライト」、「LED懐中電灯」、「LED投光器」などの製品群。2017年度から2021年度の5年間に50件の事故が起きていて、うち1件は家を全焼する事例だった。50件のうち41件は充電中に発生。また、原因が判明した11件のうち7件が付属品と異なる他製品の充電器を使ったことで発火していた。

2019年12月、千葉県で起きた事故では、ネット通販で購入したLEDヘッドライトを充電中、電池付近から出火し、一部屋が焼けてしまった。製品本体には過充電保護機能がなかったうえ、出力電圧の高い別の製品(空調服)の充電器を接続してしまったため、リチウムイオン電池が過充電状態となって異常発熱し、発火したとみられた。使用者はヘッドライトの充電器を紛失してしまい、空調服のACアダプターを試しに使ったところ充電ができたため、使い続けたという。

NITEの事故再現実験では、充電器の使い回しによって爆発に近い発火が発生。激しい発火について、「リチウムイオン電池には軽油と同等の高い引火性を持つ電解液が使われている。異常発熱すると電解液に引火して炎が出続けたり、電解液から発生したガスに引火して爆発したりする危険性がある」と説明した。

LED懐中電灯やLEDヘッドライトはインターネット市場において、「防災」「アウトドア」「登山」などのキーワードとともに、2千~3千円程度で販売されており、手軽に入手できる。一方、NITEは「過充電保護機能の付いていない製品や海外製の粗悪な製品も多く流通している」と指摘。さらに「たとえ過充電防止機能が付いていても、充電器を取り違えてしまえば安全機能が働かず、発火・発煙や爆発に至る危険性がある」と警告した。

充電器の使い回しによる事故は、充電式ライト以外の製品でも起きており、21年度までの5年間に電気掃除機3件、電動キックスケーター3件、電動リール2件の8件が確認されている。

NITEは「充電器のプラグ形状は同じものも多く、接続できてしまう。どの製品の充電器かわからなくなり、取り違えによる事故も起きているのでラベルを貼るなどして対策してほしい」と呼びかけている。

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