多重債務ほっとラインに24年度4935件 ギャンブル借金増加
- 2025/9/5
- くらし
◎日本クレジットカウンセリング協会、無料で支援へ
相談無料の「多重債務ほっとライン」を運営する公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)は、2024年度の電話相談が4935件となり、前年度から6・9%増加したと報告した。2年連続の増加で、宮下洋事務局長は「新型コロナ禍対応として導入されたゼロ金利融資の返済が始まり、生活費に困るケースが増えている」と警戒感を示した。
日本クレジットカウンセリング協会は、クレジット債務だけでなく、銀行ローンや消費者金融などを含めた幅広い多重債務相談を受け付け、相談者に寄り添った生活再建を支援する公益財団法人。電話相談と無料のカウンセリングにより、任意整理と家計管理の改善を手伝っている。
このほどまとまった24年度事業報告書によると、電話相談件数は4935件、新規カウンセリング件数は836件、延べカウンセリングは2661件となった。電話相談件数は2年連続の増加となり、コロナ禍(20~22年度)の4000件台から増加傾向を示した。
宮下事務局長は「自己破産件数や企業倒産件数も同様に増えており、多重債務の相談件数は今後も注視していく必要がある。また、20代、30代の若年層からの相談が増えており、年齢別割合の半数を超えていることも最近の特徴」と説明した。
また、借入名目を見ると「生活費補填」、「失業・転職・収入減」、「遊興・飲食・交際」が例年通り上位を占めたものの、男性の「ギャンブル」、「女性の教育・資格取得」が増加していた。
特に男性の「ギャンブル」は前年度の22・9%から30・8%へと大幅増となった。さらに前年度初めて10位に入った「悪質商法被害」が今回も10位に入り、一過性の現象ではないことがわかった。
宮下事務局長は「オンラインカジノやスポーツベッティングに関する相談も寄せられている。悪質商法被害に関しても闇バイトや情報商材などの儲け話に引っかかって借金を背負う相談が目立ち始めている」と語った。
同協会は全国に21拠点の相談室を展開。消費生活アドバイザーなどの国家資格を持った相談員が電話相談に応じている。また、カウンセリングは弁護士と相談員が2人一組となって面談を実施。相談者に最もふさわしい解決方法を助言するとともに、任意整理に向けて弁済計画を策定し、債権者との交渉を行う。さらに弁済契約締結後はその完済までを支援する。
相談者の約半数が消費生活センターなど行政の相談窓口からの紹介。宮下事務局長は「無料でカウンセリングを実施し、完済まで相談者に寄り添う活動を行っていることをもっと多くの消費者と全国の消費生活センターに知ってもらいたい」と活用を呼び掛けた。
「多重債務ほっとライン」はナビダイヤル0570・031640(おこまりならまるまるさいむほっとライン)。月~金曜日の10時~12時40分、14時~16時40分。