【米国】自動車ローン延滞増加 消費者団体が経済リスクを指摘

アメリカ消費者連盟(CFA)は9月11日、米国の消費者が抱える1兆6600億ドルの自動車ローンが限界点に達しているとして警鐘を鳴らした。延滞、債務不履行、差し押さえが急増しており、「2008年の世界金融危機の直前と酷似している」と指摘。米消費者金融保護局(CFPB)に対し、市場の再検証と早急な対策を求めた。

CFAは「デフォルトに追い込まれる:自動車ローンの延滞増加による経済全体のリスク」と題する報告書を公表し、自動車ローン市場の危機的状況を明らかにした。

報告書では、ニューヨーク連銀の2024年消費者信用パネルを示し、平均以上の信用スコアを持つ自動車購入者の支払いが滞る可能性が、パンデミック前と比べて2倍に増加していることを紹介。「貧困層だけでなく平均的な消費者にとっても購入能力の限界に達している」と報告した。

また、民間調査データを示し、自動車ローンの推定債務不履行率が2024年は3%を超えて上昇し、世界金融危機前の06年、07年と類似していること、推定差し押さえ件数が09年以降最高レベルで発生していること、CFPBへの差し押さえに関する苦情がこの10年で激増していること、などを紹介し、「自動車購入者が深刻な問題に直面している」と報告した。

CFAは背景にある問題点として、自動車の価格が高すぎることをあげた。購入手続きの煩雑さ、取引や価格の不透明さ、差別的な価格吊り上げ、金利キックバックなどが自動車取引のコストを引き上げており、自動車ローンをめぐる課題が借り手にとって壊滅的な影響を与えると指摘した。

報告書の最後で、CFAは米国のことわざ「車の中では寝られるが、家を運転することはできない」を紹介。米国の消費者は生活費や他の債務よりも自動車ローンの支払いを優先するとし、「自動車ローンの延滞の増加は家計に財政的な問題が芽生えていることを示し、経済全体に与える影響は甚大だ」と強調した。

CFAはCFPBに自動車ローン事業者への規制や搾取的な業界慣行の排除など借り手保護の緊急対策を求めた。

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